メタの「Threads」が新規性ゼロでも価値ある理由 Twitterにはない「配慮」に見える本当の目的

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もちろんInstagramでこうした炎上が起きないわけではない。ただ、メタはスレッズのサービスについても慎重に立ち上げようとしているようだ。

メタのマーク・ザッカーバーグCEOの投稿
ザッカーバーグ氏は、わずか1日足らずで3000万人が登録したことを明かした(画像:マーク・ザッカーバーグ氏のアカウントより)

スレッズにはInstagramやTwitterと同様、投稿に対して「いいね!」と反応する機能があり、「いいね!」をもらった数も確認できる。「いいね!」はポジティブな反応であり、その数が多いことは“共感“を呼んだ証左だ。

その一方で、Twitterの主要な機能でもある再投稿(リツイート)は可能ではあるものの、何回再投稿されたのかがわかる数字は公開されていない。

再投稿は注目する投稿に対して行うものであり、「いいね!」とは違って必ずしも賛同を示すものではない。ところが、Twitterでは大量に再投稿されている投稿に注目が集まる傾向が強く、さらにそれが再投稿されることで、ときに爆発的に拡散していく。それこそがTwitterの特徴と言えるだろうが、弱点でもある。

なぜなら、再投稿したうえで意見を述べる、あるいは再投稿メッセージに自分の意見を添える、といった形で使われるためだ。その過程で短文ゆえに起きやすい誤解も重なり、大量の再投稿数に釣られて炎上が連鎖する。

より広告・プロモーションに適したSNS

そうした的外れなフックが呼び起こす炎上を、スレッズの開発チームはコントロールしようとしているようだ。つまり、「いいね!」の意味を強めて、「再投稿」の影響を弱めようとしている。

上記は一例にすぎないが、タイムラインから感じられる雰囲気、心地よさをスレッズが重視していることは随所から読み取れる。もちろん、ユーザーの振る舞いをアプリやサービスの設計だけでコントロールできるわけではない。しかし、居心地のよさは広告主にとっても好都合だ。

メタが狙っているのは「広告主が安心して出稿できるSNSプラットフォーム」としてTwitter型SNSを再構築すること、というのが筆者の見立てだ。

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