今は「2013年のアベノミクス相場」と似ている? 今後も「ツーリスト投資家」に振り回されるのか

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「ツーリスト投資家などといった、日本のことをよく知りもしない投資家に、自分の国の株式市況が乱されるのは面白くない」と不満に感じる人もいるかもしれないが、そうなった責任は日本側にあるように考える。

つまり「失われた○年」などと揶揄されるように、日本経済も日本の企業も、海外から見て「株式投資に値しない」という判断を長く受け続けてきた。

その結果、海外において、日本株専門のファンドマネージャーという職業が継続しにくくなり、日本株は「アジア株の単なる一部」として、あるいはグローバル株式の一角として「とりあえず保有する」などといった状況に堕してしまった。このため、ツーリスト投資家が圧倒的多数になってしまった、という面が大きいと言えよう。

「ツーリスト投資家」はアベノミクス相場初期でも登場

実は前回のコラムでツーリスト投資家について解説したあと、「過去にもどこかでツーリスト投資家について述べたことがあったはず」という気になった。そこで検索してみたところ、なんと今から約8年以上も前の「東洋経済オンライン」の「厄介な『外国人ツーリスト投資家』に注意せよ」(2014年11月30日配信)が出てきた。

このコラムでは、筆者が2014年11月にアメリカに取材出張した際に、現地の方が「『ツーリスト投資家』という言葉がある」と教えてくれたことを記している。また、その取材先は、ツーリスト投資家に日本の市況が撹乱された例として、2013年5月以降の株価下振れ局面を挙げていた。

この当時は、2012年11月に衆議院解散、同年12月の総選挙を経て、第2次安倍晋三政権が誕生した。そこから株式市場は「アベノミクス相場」に向かった。とくに2013年4月には当時の黒田東彦日銀総裁が「異次元の緩和」を打ち出し、大いにもてはやされた。

このとき、アメリカの取材先は、当時の急騰について「『アベノミクスは単なるブーム』と割り切った、ツーリスト投資家の買いによるもの」と判断していたという。こうした「ノリ」による買いは、日経平均を同年5月23日のザラ場高値1万5942円60銭まで押し上げた。

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