アダルトビデオ界の大物が切り拓く"新境地"

異色経営者DMMグループ亀山敬司伝<3>

今の亀山はどちらかと言うとベンチャーキャピタリストに近いかもしれない(撮影:梅谷秀司)

<1>アダルトビデオ界の大物は、どんな男なのか

<2>アダルトビデオで儲かるのは「販売」ではない

亀山敬司がアダルトビデオ(AV)の世界から本格的に打って出たのはここ10年ほどである。「デジタル・メディア・マート」の略称である「DMM」を新たな旗艦ブランドに打ち立てて、それを前面に押し出したテレビCMの放映を大々的に始めた。そして、2008年には200億円の大台を突破した潤沢な内部留保を、新規事業に惜しみなく投資した。DMMの名が一般のビジネス界で強く意識されだしたのは2009年に買収したFX(外国為替証拠金取引)事業の躍進からと言えるだろう。

今の亀山はどちらかと言うとベンチャーキャピタリストに近いかもしれない。4年前からは「亀チョク」と呼ぶ仕組みを始めた。起業家らアイデアを持った人間を業務委託的に雇い、実働部隊と資金を与えて存分に働いてもらおうとの試みだ。

「50歳にもなるとアイデアが浮かばなくなる。SNSやスマホとなると頭がついていかない」と亀山は率直に認める。それを補うのが亀チョクだ。そうして生まれたのが人気ゲームの『艦隊これくしょん』であり、時代を先取る3Dプリンタである。

金曜は若手起業家と立ち飲みバーへ

毎週金曜の深夜、このところの亀山は都内の立ち飲みバーに寄ることが習慣になっている。若い起業家らとの話が刺激になるからだ。彼らからは親しみを込めて「亀っち」と呼ばれたりする。

今やそのうわさはベンチャー業界でかなり浸透しているらしく、亀山に資金を出してもらおうとその店にやって来る若者は引きも切らないのだという。自称・引きこもりだったかつてと異なる亀山の姿がそこにはある。

はたして経営者・亀山の強みは何なのだろうか――。DMM.com社長の松栄立也は「撤退の早さ」がそれだと言い切る。完成間近のプロジェクトでも競合の動き次第で突然やめる。そんな時、会議で部下に詰め寄られる場面もある。「ごめん、ごめん。次やりたいことあるから」と例の脱力系の物言いで、亀山はその場を収めてしまうという。「ワンマンだけど憎めないずるい性格」と松栄は笑う。

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