「マツキヨココカラ」が都市部で強い納得の事情 地方では九州から発祥のコスモス薬品が進撃

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人流が自然と集まる大都市部を押さえるほうがドラッグストアとしては有利で、この点でもマツキヨココカラはドラッグストア最良の店舗網を築いているといえる。首都圏、京阪神における圧倒的なシェアを確立しているからだ。

ドラッグストア大手の首都圏、京阪神における店舗数を見ると、マツキヨココカラは首都圏において圧倒的、京阪神でもトップとなる店舗網を築いていることは一目瞭然だ。

(出所:各社HP等)

ライバルも新規出店すればいいだろう、と思うかもしれないが、国内有数の人口密集地である首都圏、京阪神の中心地には空き地などはほとんどない。優良立地は異業種も含めた取り合いで、取ったり取られたりの競争になる。追いかけようにも簡単には追いつきようがないため、マツキヨココカラの優位は当面揺らぐことはなさそうだ。

マツキヨとココカラファインという大都市に強い企業同士の統合が決定する前に、スギ薬局が「待った」をかけたことがあった。スギ薬局はこうなることを十分にわかっていたからこそ、最後までこの統合を阻止しようとしていたのだろう。

九州発祥のコスモス薬品の進撃

では、ウエルシア、ツルハなどの大手企業はこれからどう出るのか。大都市部へは可能な限り出店やM&Aによって店舗網を強化しながら、地方におけるシェアアップで激しい競争を展開せねばならない、というのが一般的な見方となろう。

しかし、そこで台風の目となるのはコスモス薬品である。出店力、成長力で競合他社を圧倒しており、M&Aの手を緩めると売り上げでは抜かれてしまう。

九州から発祥して、中四国、近畿、中部と物流網を整えながらドミナントをひたすらに東に広げていくコスモス薬品は、一度上陸するとそのエリアシェアを確実に増やし続けてきた。チェーンストア理論の権化のような効率性を誇り、その結果実現された損益分岐点の低さから、現状ではコスモス薬品を止める手立ては確立されていない。

したがって、ドラッグ大手各社はコスモス薬品との接近戦を行いつつ、残存している地場ドラッグストアのM&Aを続けるしかない、というのが現状かもしれない。

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