シャープ「2600億円巨額赤字」に株主の怒り爆発 社長再任への反対票は2022年と比べて倍増

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シャープがSDPを完全売却するとしていた方針を180度転換させ、完全子会社化すると発表したのは2022年2月。SDPを買い戻したのは6月27日だった。呉柏勲社長、沖津雅浩副社長の現体制が発足したのは同年6月23日。株主が責任の所在を問うのは当然のことだ。

「SDPの買収は法的に問題なかったと言っているが、結果として巨額の減損につながった。経営判断としては誤りだったのは間違いない。今後どのように改善していくつもりなのか」(別の株主)

こうした質問に対し、会社側は従来どおりの説明を繰り返した。買い戻しのプロセスについては「外部の専門家の意見を求めつつ、取締役会で決議した」(呉CEO)と釈明。

当時の経営判断についても「地政学的なリスク、サプライチェーンリスクが高まっており、中米の対立を発端とした調達の困難性もある。当時の状況から考えても不合理とは言えない」(呉CEO)とかわした。

株価下落に悲痛な叫び

業績や株価に関する質問も多く出た。

「6年前に4000円台だった株価は下落する一方だ。何ですか?このざまは! 日経平均株価が33年ぶりの水準に高騰しているというのに、シャープの株価はなぜ下がる一方なのか。私たちのシャープを壊さないでほしい」(シャープOBだという株主)

総会終了後に開かれた経営説明会で質問に立った株主には「買ったときの値段から5分の1になった」という人もいた。

シャープの株価チャート
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このチャートは「会社四季報オンライン」の有料会員が使えるチャートで描画しています

実際、シャープの株価は2007年頃から右肩下がりの状況が続いている。鴻海による資本参加後は一時上昇に転じた局面もあったが、足元では上場来安値付近を低空飛行している状態だ。

呉CEOはこれらの声に、「昨年CEOに就任してから非常に懸命に働いてきた。グローバルテックカンパニーにしていくために勤勉に働いている。(今後は)新規事業をどんどん推進していく」と応じた。また、各ビジネスユニットに新規事業を推進する部門を設置し、「開源節流」を徹底する方針も改めて強調した。

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