日本企業「X世代以上が牛耳る」事の根本的な問題 世界で成功する組織は当たり前にフラット

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現在、同じ職場で働くX世代、Y世代、Z世代の間に大きな世代間ギャップを生み出しているのが、デジタル化の進展です(写真:ふじよ/PIXTA)
世界から取り残されつつある日本。その大きな理由の1つが「組織の形」にあると主張するのが、コンサルティング会社で地域トップを務め、現在はビジネススクールで教鞭を執る山本真司氏だ。日本がイノベーションを起こせないのは、日本の組織の「ある形」がいまだに残っているからだというのだが、それはいったい?(本記事は山本氏の著書『チームを動かす すごい仕組み』からの抜粋です)。

「デジタル移民」と「デジタルネイティブ」

現在、同じ職場で働くX世代、Y世代、Z世代の間に大きな世代間ギャップを生み出しているのが、デジタル化の進展です。

デジタル化におけるターニングポイントになったのは、2001年から2003年にかけて、デジタル技術でゲノム解析が達成されたことにあると私は考えています。X世代もデジタル化の波は大きく受けていますが、その働き方の根本にはアナログがあります。いまではメールやSNSを使いこなしている人でも、いわばあとからそれを受け入れた「デジタル移民」なのです。

一方で、Z世代はいわゆる「デジタルネイティブ」です。Z世代は「デジタルがあるのが当たり前」の世界を生きてきたのです。その中間に位置するY世代も、X世代よりはるかにデジタルが浸透しています。そして、社会に出た時に「デジタルが当たり前」だった人たちにとって、「フラットな組織」は当たり前なのです。

デジタル化の進展がなぜ、組織のフラット化を促すのか。その大きな理由は「情報コスト」にあると考えられます。

かつての「アナログ時代」には、情報を手に入れるためのコストは非常に高いものでした。ある情報を手に入れるために高価な資料集を買わなければならなかったり、直接現地に出向いて話を聞かなくてはなりませんでした。そしてそれらを編集し、出版物やテレビ番組に仕上げて情報を流通させるのには、大きなコストがかかっていました。

また、アナログ時代には、高コストで生成される情報は地位の高い人のところに集まる傾向がありました。私も組織のトップをやっていたからわかるのですが、経営者になると、入ってくる情報が質量ともに違ってきます。経営者同士の情報交換もあるし、さまざまな売り込みもある。だから、トップは情報を独占し、その情報で人を従わせることができたのです。

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