「送料無料」にトラック運転手がモヤる納得の理由 現場のルールは、現場を知らない人が作る

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「早く来い」「時間通りに来い」と注文する荷主側ではなく、なぜか運ぶ側の運送企業やトラックドライバー自身が高速代を負担させられることが少なくない現場においては、この深夜割引の存在は、もはや「生命線」。

例えば、大型車で広島から東京を走った際、深夜割引を適用するのとしないのとでは、片道だけで約8300円もの差が出る。

そのため、一見この深夜割引は「運ぶ側に優しい制度」と思われがちだが、運送企業やトラックドライバーたちにとっては、「現場を苦しめるルール」の筆頭となっており、同制度の見直しはここ10年もの間、彼らの大きな願いとなっていた。

ドライバーの長時間労働の原因にも

その大きな理由は、同制度が「ドライバーの長時間労働」と「SAPAの駐車マス不足」の原因になっているところにある。

例えば、もし読者各位が「広島―東京」間を自腹で走るトラックドライバーで、東京料金所出口の到着予定時刻が23時30分だった場合、どうするだろうか。

現行の深夜割引は先述通り、0時から4時まで〝1秒でも〟高速道路内にいれば適用されるので、極端な話、0時00分01秒に東京料金所のゲートを出れば、8300円が浮く。それならば、手前のSAPAで30分ほど待機して、0時まで時間調整をしようとはしないだろうか。

これが、料金所手前や近くのSAPAで毎晩のように起きている「トラックドライバーの0時待ち」だ。

料金所手前は、23時55分ごろから0時待ちをするトラックで大渋滞。手前でサイドブレーキ引いて、完全に「待ち」の態勢を決め込むドライバーまでいるため、2車線、時には3車線すべてがガチガチに動かなくなる。

会社が高速代を負担する場合、ドライバーは「深夜割引の適用」を指示されたりしていることも多く、なかには、たとえ夕方ごろに出口付近に到着していても、0時まで高速を降りられない人もいる。

こうしてSAPAは0時まで待機するトラックで溢れかえり、駐車マス不足や路肩駐車が発生。さらには、「待機によるドライバーの長時間労働」の原因にもなっている、というわけだ。

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