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株式報酬の制度整備こそスタートアップの活力だ 自民党担当議員に聞く、「5か年計画」の現在地

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信託型SOをめぐる国税庁の見解では、一部のスタートアップから困惑の声も。政府のスタートアップ支援は、どこに向かっているのか。

自民党のスタートアップ政策に関する小委員会がまとめた提言には、ストックオプション環境整備の早期実現などが盛り込まれている(記者撮影)
重要政策の方向性を定める「骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針)」が、6月16日に閣議決定された。スタートアップの支援策をめぐっては、ストックオプション(SO=株式購入権)の活用に向けた環境整備や起業家育成の拠点整備といった内容が盛り込まれた。
たたき台になったのは、自由民主党の「新しい資本主義実行本部スタートアップ政策に関する小委員会」が5月にまとめた提言だ。2022年11月にスタートアップ育成5か年計画が策定されて以降、政府のスタートアップ支援はどこに向かっているのか。同委員会の事務局長を務める小林史明・衆議院議員に聞いた。

――スタートアップ育成5か年計画では、スタートアップへの投資額を2027年度に従来比の10倍を超える10兆円規模にすることを掲げています。効果的な実効策は整っているのでしょうか?

国の予算に頼るのではなく、民間資金がスタートアップ投資に回り、成長から得られた大きな資金がまたスタートアップへの再投資へと循環しながら大きくなっていく仕組みをつくりたい。そのための制度整備が今、着実に進んでいるところだ。

人材・資金・技術の循環を生む

今までのスタートアップ支援策は、政策の主体が経済産業省になっていて、いわゆるスタートアップという事業者そのものを支援する観点が多かった。実際にスタートアップの数は増えており、ユニコーン(企業価値が1000億円を超える未上場企業)と呼ばれる大型のスタートアップも出てきてはいるが、全体のエコシステムの中でサイクルが適切に回っていない部分があった。

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