人気YouTuber「黒塗りメイク」動画が超悪質なワケ テレビからは消えたが、SNSでよみがえった

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イギリスのBBCやアメリカの「ニューヨーク・タイムズ」紙といった著名な報道機関がその愚かさを取り上げ、数日間、黒塗りメイクでマーフィー氏のビバリーヒルズ・コップの衣装をまとった浜田氏は、日本の無知と不寛容の象徴的なキャラクターとなり、その画像はインターネット上に広まった。これは浜田氏にとっても、日本テレビにとっても、あまりいいことではなかった。

当然ながら、日本のほかのメディア企業は同じ運命を避けたいと考え、知るべきことを積極的に学ぼうとした。例えば、TBSは、日本の黒塗りメイクについてプロデューサーや幹部と相談するために私を招いた。私は、その歴史と、奴隷制度や黒人に対する人種差別の歴史がない日本で、なぜそれが人種差別とみなされるのかについてプレゼンをした。

ペリーが持ち込んだ「ブラックフェイス」

日本におけるブラックフェイスの歴史は1854年、日本を開国させたアメリカの白人、マシュー・ペリー提督が日本に持ち込んだのが始まりと説明した。ペリーは、砲艦外交でアメリカが求めていた条約を獲得した後、日本の代表団をミンストレルショーでもてなしたのだ。

ミンストレル・ショーは、アメリカの大衆的で人種差別的な娯楽であった。このショーでは、ペリーの乗組員である白人がブラックフェイスを演じ、出席した日本の使節団は大変楽しんだという。

それ以来、日本の俳優や歌手は、黒塗りメイクを使ったエンターテインメントを楽しんでいる。おそらく、自分たちがアメリカの人種差別主義者からこのようなエンターテインメントを学んだことを忘れたり、無視したり、気づかなかったりしたのだろう。

日本人だけを相手にした過去の芸能人とは違い、例えばラッツ&スターや、浜田氏といった芸能人がブラックフェイスのパフォーマンスをする影響は計り知れない。クリックすれば世界中の人が映像を見ることができる時代に、しかも、世界的に多様化が進む中での黒塗りメイクが世界を驚かせ、激しい批判の対象となるのは当然だろう。

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