再生エネルギー比率30%が実現できる理由 どうする電源構成<1> 東京理科大・橘川教授

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――コージェネ15%というのは、かなり積極的に感じます。

正確に言えば、コージェネと自家発電を入れている。現時点でもコージェネが5%弱で、自家発電が5%強と、計10%程度を占めている。それを15%に増やすということだ。ただ、事務局はこのコージェネと自家発電は外すようだ。やはり、これらを入れると原発比率が下がって見えるからだろう。

コージェネ、自家発電を入れて考えるべき

――経済産業省は2030年度の電力消費量全体について、省エネ対策なしでは2013年度比22%増の1兆1769億キロワット時と見込んでいます。また、省エネ対策によって約17%削減でき、2013年度比約1%増の9808億キロワット時になる試算しています。

私自身、2030年時点での総需要量は近年と変わらない1兆キロワット時くらいが現実的ではないかと思っている。3割ぐらい省エネ可能との見方もあるが、特に産業用の省エネは、ここからはかなりきつい。電力需要は家庭用、業務用、産業用がそれぞれ3分の1ずつ。いちばん減らせる家庭用は3分の1にすぎない。省エネに関しては、政府の試算はかなり頑張ったと言えるのではないか。

――提唱している電源構成では、2030年までの温室効果ガス削減目標はどの程度になりますか。

2005年基準で25%程度の削減になろう。あと5%程度は上積みしたいが、それはコージェネの拡大で可能になるのではないか。(先進国が)2050年に80%削減するのが本来の目標であり、そこにつなげるには2030年に30%削減が必要だろう。

――そもそも、来春からの電力小売り全面自由化など、市場原理が広がる中での電源構成目標の意味をどう考えていますか。

そうした議論は確かにある。ただ、エネルギーは長期投資が必要であり、ある程度の見通しやメッセージ性がなければ長期の投資は起こりにくい。そのため、見通しをつくること自体には意味がある。むしろ、政府は近年、選挙を意識してそれをさぼってきた。そのことのほうが問題だ。

中村 稔 東洋経済 編集委員
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