JR「リニア高架橋」山梨で進捗、どうする静岡? 川勝知事「珍説明」で時間稼ぎの間に他県は先行

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リニア中央新幹線 高架橋
山梨県内で建設が進むリニア中央新幹線の高架橋(記者撮影)
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台風2号や梅雨前線による大雨の影響で東海道新幹線は東京―名古屋間で6月2日夜から3日昼頃まで運転を見合わせ、多数の利用客が足止めとなる事態となった。JR東海が建設中のリニア中央新幹線は、東海道新幹線のバイパスとしての役割が期待されている。リニア完成後は、東海道新幹線が運休してもリニアによって乗客の移動は一定程度確保されるが、静岡工区で工事が始まらず、2027年の開業は事実上不可能に。新たな開業時期も見通せない。そんな中で、静岡以外の他都県では工事が順調に進んでいる。

JR身延線の市川大門駅(山梨県西八代郡市川三郷町)からリニアの工事現場まで、タクシーで約10分の道のりだ。5月30日、山梨県南巨摩郡富士川町で建設中のリニア高架橋が報道公開された。

現場に向かう道中、タクシーの運転手が話しかけてきた。「静岡県の知事は川勝さんっていうんでしょ。“川で勝つ”とは意味深な名前ですね」。川勝平太知事の存在感は隣の山梨でも高まる一方だ。

「でも、知事は『自分は理論的に説明している』と言うけど、ずいぶん感情的ですよね。山梨のことをいったいなんだと思っているんでしょう」。川勝知事は、大井川の水問題を理由に県内のリニアトンネル工事を認めないが、最近は山梨県の工事にまで口を出している。これが、山梨県民にとっておもしろくないようだ。山梨県内では各所で工事が進んでいる。中には工事のために長年住む家を立ち退くといった決断をした人もいる。そんな人生の一大決心をしてまでリニアに賛成しているのに、「水1滴」を理由に反対する川勝知事の発言が残念でならないのだという。

山梨県内「高架橋」の第1号

リニアは品川―名古屋間の大半でトンネル内を走るが、山梨県内のおよそ27kmは地上区間となり、高架橋の上を走行することになる。この場所で建設されているのは高さ約21m、幅約16mの高架橋。橋の長さは約76mで3本の分厚い橋脚がしっかりと支えている。地上部が全長約27kmということは、同様の高架橋が地上に何百も建設され、それが1本につながるわけだ。今回がその第1号ということになる。

2020年7月に工事が始まり、2022年3月に下部が完成、今年1月には上部のコンクリート打設が終わった。6月中に最後の仕上げを行い、竣工するという。ただ、防音防災フードやリニアの線路に相当するガイドウェイの設置はまだ先の話だ。

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