女子大募集停止のカギ握る「閉校までの時間」 恵泉女学園、神戸海星女子「早め手仕舞い」の訳

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大学の募集停止を決めた恵泉女学園大学のキャンパス。東京郊外という地の利が悪い点も学生集めに影響したといわれる (筆者撮影)
少子化が進み大学の募集停止が相次ぐなか、政府は理系強化の方針を打ち出す。ターニングポイントを迎える中、大学側はどう対応すのか、そして実力を発揮する「本当に強い大学」はどこか? 「週刊東洋経済」では臨時増刊『本当に強い大学2023』を5月22日に発売(アマゾンでの購入はこちらから)。今の大学がわかる受験生・親世代必読の1冊だ。その誌面から記事を「女子大の募集停止」に関する記事をお届けする。
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「このたび閉学を前提とした募集停止という苦渋の決断に至りました」。2024年度以降の学生募集を停止する恵泉女学園大学(東京都多摩市)と、神戸海星女子学院大学(神戸市)両校の告知文に書かれていた一文だ。

女子大の逆風を象徴する出来事として注目を集めているが、その主な理由として恵泉女学園大は「定員割れが続き大学部門の金融資産を確保・維持が難しくなった」、神戸海星女子学院大は「今後、継続した定員充足は極めて困難」と説明する。

しかし、学校法人としての財務状況を見ると、経営的に逼迫している状況ではないことがわかる。

法人の財務状況は良好

決算を見ると、両法人ともに経常収支差額は若干の赤字。表にはないが特別収支を加えた基本金組入前収支差額は黒字だ。確かに部門別で見ると、大学の赤字を中学や高校などの黒字が補っているが、共学化などの施策や構造改革で大学存続は不可能ではない。

ではなぜ傷が浅いこのタイミングでの「手仕舞い」なのか。

次ページ両校の決算書
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