スマホの「2年縛り・自動更新」がなくなる? GW明けに議論スタート、携帯3社の反発必至

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いずれも2年契約でないプラン(解約金なし)を選択することは可能だが、かなり割高になるため、実際にはほとんど利用されていない。KDDIはホームページ上に掲載していないほどだ。ユーザーとしても、解約金が発生しないとはいえ、それ以上に割高なプランを利用するメリットは薄い。携帯会社は戦略的にユーザーを2年契約で囲い込んでいるのが実情だ。

ただ、今後はこうしたプラン設計自体が変化する可能性が出てきた。総務省は2年縛りの是非を検証する有識者会議「利用者視点からのサービス検証タスクフォース」を4月20日に設置し、5月の連休明けから議論を開始する。これは研究会の構成員から「最初の2年契約は理解できるが、その後はユーザーが自由に解約できるようにすべきではないか」といった意見が多かったためだ。

夏をメドに方向性を打ち出し

総務省は「公正競争の観点から、海外の例も含めて検証していく。携帯電話会社にはヒヤリングを実施することになる。夏をメドに一定の方向性を出したい」(消費者行政課)としている。携帯会社にとって2年縛りの契約・自動更新は経営戦略の要。猛反発は必至だろう。

巨大市場の米国においても「2年縛り・自動更新」は携帯会社の主流になっている。唯一の例外として、業界4位のTモバイルUSが従来の携帯会社からの脱却を意味する「脱キャリア」戦略で2年縛りの撤廃を打ち出している(2013年4月開始)が、これは市場規模の成長や上位の会社からユーザーを奪取するという目算があってのこと。スマホの販売台数が鈍化し、大手3社がそれぞれ一定の規模を有する日本市場では、携帯各社が積極的に2年縛りを開放する理由は見当たらない。

今回は解約における条件の緩和にとどまったが、これを契機に携帯会社の本丸である2年縛りの撤廃まで影響が及ぶ可能性が出てきた。その時に現行の料金水準は維持されるのか。携帯会社はもちろん、ユーザーにとっても見逃せない議論となりそうだ。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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