江田法務大臣が最高検察庁に特捜部取り調べ全過程の全面可視化試行を指示、検察側は現場の判断尊重

江田法務大臣が最高検察庁に特捜部取り調べ全過程の全面可視化試行を指示、検察側は現場の判断尊重

江田五月法務大臣が最高検察庁に地検特捜部取り調べ全過程の全面可視化の試行を4月8日に指示した。

大阪地検特捜部の前田元主任検事によるフロッピー(FD)改ざん事件を受けて設置された「検察の在り方検討会議」は「被疑者の取り調べの録音・録画は、検察の運用及び法制度の整備を通じて、今後、より一層、その範囲を拡大するべきである」「可視化を含む新たな刑事司法制度を構築するため、直ちに充分な検討を行う場を設け、検討を開始するべきである」などの表現にとどまっていたが、今回の江田大臣の指示は、検討そのものを吹っ飛ばして、いきなり「全面可視化の試行に向かえ」とするものだ。

大臣指示を受けて同日に会見した最高検のトップ、笠間治雄検事総長は、大臣の指示を「改革に邁進して参りたい」「火急的に全面可視化をやっていかないといけない」と真摯に受け止める姿勢を示しつつも、「公判担当の検事と違い、特捜部の検事は録音・録画に馴れていないので、(全面可視化の試行が)スムーズに滑り出すかどうかは分からない」と、あくまで現場の判断を尊重する姿勢を示した。「全過程の録音・録画」は原則ではなく、容疑者や証人との信頼関係を構築することが取り調べの大原則だとの信念を質疑応答で何度もにじませた。

効果を検証するに足るだけの全面可視化の試行回数について問われると、笠間検事総長は「何件出来るか分からない」としたうえで、「(被疑者や証人が)『カメラ回っているからしゃべらない』と言ってくれれば分かりやすいが、ただ黙っているだけだと検証しにくい」と、検証結果の評価の難しさを指摘しつつ、全面可視化の弊害が浮き彫りになることへの期待をにじませた。

このほか、全過程の全面可視化は、「録画・録音の併用前提で、録音だけということは想定していない」との認識を示した。「特捜部検事は取調室での全面可視化を嫌い、在宅でガンガン取り調べるようになるのではないか」とのうがった見方については、「そういう発想はなかった。潜脱行為的なことをやってはならない」とのみ受け答えた。被疑者が録音機を取調室に持ってきた場合については、「我々の管理下にない別問題」と受け流した。

笠間検事総長は26代目の検事総長で、FD改ざん事件を受けて前任の大林宏氏が急きょ退任したことを受けて、2010年12月27日に就任したばかり。前東京高検検事長で、東京地検、那覇地検を経て、東京地検特捜部長としてKSD事件を指揮した特捜畑のたたき上げ。ちなみに大林氏は4月1日に大和証券の監査役に就任している。

(山田 雄一郎 =東洋経済オンライン)

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