物流倉庫の賃料、値上がり基調はどこまで? ネット通販の競争激化が倉庫相場を押し上げ

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ただ、一口に賃料上昇といっても、首都圏の主要4エリアをつぶさに見ると、強弱があることがわかる(図)。

湾岸エリアは物流倉庫に対する需要が4エリアの中で最も高く、供給量も少ない。もともと賃料が高いエリアだっただけに、最近は賃料の上昇率は鈍かったが、空室率は1%台にとどまり、今後2年間では3.8%の上昇となる見込み(CBRE予測、以下同じ)。

外環道エリアは、物流倉庫の竣工が集中した2014年に需給が緩み、空室率が悪化。一時的に賃料も頭打ち状況にあった。が、都心近郊の需要が根強いことから、今後2年間では4エリアの中で最も高い4%の賃料上昇が想定される。

2015年前半まで供給不足

同様に、国道16号エリアも、堅調な需要を背景に空室率が低水準を維持。賃料は2.3%の上昇となる公算が大きい。

圏央道エリアは14年から本格的に棟数が増えているため需給バランスが緩む可能性があり、4エリアの中では最も低い2年間で2.2%の賃料上昇が見込まれている。

ただ、いずれのエリアにおいても「2015年前半までは、新施設の契約がほぼ埋まっている状況。供給が追いついていない」(CBREの小林麿エグゼクティブディレクター)という状況だ。

物流施設の契約期間は中長期にわたるケースが多く、目先に相場が崩れる心配はなさそうだ。

「週刊東洋経済」2015年4月25日号<20日発売>「価格を読む」を転載)

梅咲 恵司 東洋経済 記者

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うめさき けいじ / Keiji Umesaki

ゼネコン・建設業界を担当。過去に小売り、不動産、精密業界などを担当。『週刊東洋経済』臨時増刊号「名古屋臨増2017年版」編集長。著書に『百貨店・デパート興亡史』(イースト・プレス)。

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