セブン村田社長、「オムニ挑戦は宿命だ」 1万8000店をネットと融合、「いつでもどこでも」
セブン&アイホールディングスのオムニチャネル戦略が動き出した。セブン-イレブン、イトーヨーカ堂、デニーズから、そごう・西武、フランフラン(バルス)、赤ちゃん本舗、ニッセンまで、全国に約1万8000店舗を擁するセブン&アイグループにとっては「宿命」のオムニ戦略だ。
4月24日、オラクルが東京・大手町のパレスホテルで開催した「オラクル・インダストリー・リーダーシップ・サミット2014」。このイベントはIT大手のオラクルが主催する業界ごとに、ITの活用事例を紹介するもので、昨年に続き2回目となる。3月に米ボストンで開催されたイベントの日本版でもある。パナソニックやキヤノン、NTTドコモ、マツダ、アサヒグループHD、リクルートなど注目企業の講演も数多く用意されたが、その基調講演に登壇したのが、セブン&アイHDの村田紀敏社長。その経営戦略について1時間にわたって熱く語った。
ネットとリアルの融合こそ重要
村田社長は、オムニチャネル成功には「経営の質というものがベースにないと難しい」とし、オムニはこれまで改革の延長線上にある取り組みである点を強調した。
実は、セブン&アイがオムニチャネルに取り組むきっかけとなったのは、昨年9~10月にオラクルの協力でおこなった米国視察だ。グループの幹部50人がITの実態、特にオムニチャネルの先行事例を見て回った。感銘、刺激を受けた幹部たちは侃々諤々の議論を行い、至った結論はイノベーションの方向性。「ネットとリアルは競合ではなく、融合させていくことが重要」というものだった。リアルな店舗で何をすべきなのか、それが論点となったのだ。
ガートナーの2013年のチャネル別販売構成比の予測によれば、11年実績で91.9%を占めた「実店舗での販売シェア」は17年には80.7%に低下する見通しだ。一方、Eコマースは5.1%から12.0%に、モバイルコマースは0.7%から5.0%にそれぞれ上昇する。ただ、チャネルの主力がネットになるかというとそうではなく、リアルな実店舗の差別化が求められていると解釈、これを融合させようと考えた。それは顧客との信頼関係、顧客の立場で、顧客に近づき、差別化商品を開発することだった。
なぜ「販売チャネルで、ネットが主力とはならない」と考えたのか。それは、「スマートフォンの普及で、ITが手の中に入るようになったことで、情報過多による情報疲れがおきているのではないか」と消費者心理を分析したためだ。
では、情報の洪水のなかで何を信頼すべきか。そこでは、専門知識をもった第3者の情報、自分のためにカスタマイズ情報、そして、何よりも現物を見て得られる直感・体感を、消費者が信頼するのではないかとの仮説を立て、「接客と商品開発の両面に取り組むことが重要な時代になった」と考えた。リアルな店舗での顧客からの評価が、オムニチャネル戦略の成功のカギとなるというわけだ。
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