セブン村田社長、「オムニ挑戦は宿命だ」 1万8000店をネットと融合、「いつでもどこでも」

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17年度までには店舗がメディア化、楽しい空間へ

「会員」から「ビッグデータ」まで7つのグループが同時に走る(撮影:大塚一仁)

「チームオムニ」。これは、社内のネット担当者約100人で、7つの検討領域にわたり実行計画を検討していく組織だ。

7つの検討領域とは(1)会員(コールセンター、セキュリティ、共通決済、会員データベース)、(2)サイト(検索や買い物かごの共通化)、(3)店舗(接客、タブレット端末の開発、店頭受け渡し)、(4)商品(商品管理コードの共通化、新商品の開発)、(5)物流(各企業の物流の統合、宅配)、(6)メディア(販促手法の検討、各社ホームページの課題整理)、(7)ビッグデータ(システム構築やデータ分析)から成る。

サイトについては、統合ECサイト「7&iネット(仮)」の構築を進めている。スマホアプリも体系化し、オープンプラットフォーム化で連携を拡大する意向だ。

チームオムニチャネル戦略のメンバー企業には、オラクル、ヤフー、グーグル、NTTデータ、NEC、三井物産、ネットイヤー、チームラボ、電通など強力な顔ぶれがそろう。

まず、「STEP1」としては、15年度までに、グループすべての商品をすべての店舗で受け取り可能にする。そして、STEP2が16年度までに、ネットを活用して店舗で便利な買い物ができるようにすることである。さらに、STEP3では、17年までに店舗をメディア化し、売り場を楽しい空間にすることを盛り込んだ。

米国視察で特に重要とわかったのは、商品の受け渡しサービスである。「ラストワンマイルを制するものが、オムニチャネルを制する」といわれたが、いわば「ワンマイル=1.6キロ」という感覚の米国と違って、日本では、都会なら「200メートル、300メートルの中に店舗がある。そういう意味ではラストワンハロン(1ハロンは200メートル)に、われわれの強みがある」(村田社長)という。

村田社長が、「宿命」とまで断言したオムニチャネルへの取り組み。たしかに、セブンのグループ資源はオムニには最適と思われる。「いま挑戦しなくて、いつするのか」(村田社長)。大規模プロジェクトは始まったばかりだ。

ITを活用して、大きく事業を拡大させる実験。これまで、ITはどちらかというと、効率化のために使われることの多かった。結果として雇用抑制、デフレ化を促進する面も否めなかったが、このイベントでは、こうしたオムニチャネルのようにITをイノベーションに活用する例が目立った。ITを使った成長、事業の拡大。それがこれからの大きなテーマとなっている。

山内 哲夫 東洋経済 記者

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やまうち てつお / Tetsuo Yamauchi

SI、クラウドサービスなどの業界を担当。

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