資格費用の7割が戻る「教育訓練給付金」のすごみ これを利用しないと損!国の支援制度は手厚い

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そんな教育訓練給付金だが、拡充の期待が高まっている。

4月12日、岸田文雄首相は新しい資本主義実現会議の場で、「企業経由が75%の在職者の学び直し支援策を、5年以内をメドに過半が個人経由の給付になるようにする」と発言した。

学び直しなど人への投資に5年間で1兆円を投じる方針を表明している岸田首相。徐々にその中身が見えてきているが、この日も冒頭のように踏み込んだ発言があった。

岸田首相
学び直し政策拡充に意欲的な岸田首相(撮影:尾形文繁)

現在、人材開発支援助成金など企業経由で従業員に行っている学び直し支援に、年間約771億円の予算が投じられている。それに対し、教育訓練給付など個人経由の支援額は、237億円にとどまる。教育訓練給付などを拡充させることで、個人経由の支援割合が企業経由を上回るようにすることを目指す。

拡充されそうな専門実践教育訓練給付金

狙いは、企業によるキャリアアップ支援から、個人がキャリアを選択しやすくする仕組みにシフトさせることだ。企業が仕事に必要なスキルを明示すると同時に、働く側はそれに対応できるスキルを自ら習得できるように促す。

現在内容の検討が進められている1つが、専門実践教育訓練給付金の拡充だ。例えば同制度は、受講終了後1年以内に転職しないと20%の割り増し給付が受けられないが、デジタル分野の講座などを中心に、転職せずとも割り増し給付が受けられるようにする。

それ以外も新しい資本主義実現会議の場を中心に議論が進められており、6月発表の「労働移動円滑化のための指針」に盛り込まれる予定だ。施行は少し先になりそうだが、資格・検定取得の追い風になるのは間違いない。

宇都宮 徹 東洋経済 記者

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うつのみや とおる / Toru Utsunomiya

週刊東洋経済編集長補佐。1974年生まれ。1996年専修大学経済学部卒業。『会社四季報未上場版』編集部、決算短信の担当を経て『週刊東洋経済』編集部に。連載の編集担当から大学、マクロ経済、年末年始合併号(大予測号)などの特集を担当。記者としても農薬・肥料、鉄道、工作機械、人材業界などを担当する。会社四季報プロ500副編集長、就職四季報プラスワン編集長、週刊東洋経済副編集長などを経て、2023年4月から現職。

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