三菱重工MRJ、初飛行の延期でどうなる?

2017年の初号機納入に向け、開発は正念場に

飛行試験は5機投入して飛行データを集める。2014年秋に披露した飛行試験用1号機に続き、同2~5号機も機体製作が進んでいる(写真:三菱航空機提供)

待ち焦がれた初飛行は、またしばしのお預けとなった。三菱重工業と傘下の三菱航空機は4月10日、愛知県で会見を開き、6月末までに実施するはずだったMRJ(三菱リージョナルジェット)の試験初飛行を9~10月に延期すると発表した。地上試験の結果などを踏まえ、飛行試験前に機体・装備品の一部設計変更を行うためだという。ANA(全日本空輸)への初号機納入時期は2017年4~6月で変えない。

MRJは三菱重工グループが開発を進める90席クラスの地域路線用旅客機。オールジャパンで開発されたYS-11以来、半世紀ぶりの国産旅客機となる。ただ、2008年に開発着手して以降、これまで3度に渡ってスケジュールの延期を強いられるなど、開発作業は想定以上に難航。2014年秋にようやく飛行試験用初号機のロールアウト(初披露式)にこぎ着け、今春の初飛行に大きな注目が集まっていた。

飛行試験用の初号機はすでに完成しているが、飛行試験を実施するためには、解析や地上試験データなど安全性に関わるさまざまな資料を提出し、国土交通省から許可を得る必要がある。現在、開発を担う三菱航空機と生産を担当する三菱重工はその許可取得に向け、機体やエンジン、装備品の性能・動作試験、機体の強度試験やソフトウェアの検証作業などを共同で進めている。

パリエアショー前の初飛行はならず

開発を統括する三菱航空機の岸信夫副社長によると、当初は安全性に大きな影響を及ぼすもので無い限り、こうした地上試験の結果を初飛行後に設計へフィードバックするつもりだったが、先に反映して機体の完成度をより高めてから飛ぶことにしたという。たとえば、非常用電源装置の取り付け部分の構造などを見直す。

岸副社長は、「変更を先にやったほうが飛行試験後の二度手間が減り、先々の作業が効率的に進められる。何らかの大きなトラブルで初飛行を延期するわけではなく、どういう順序でやるのがもっとも効率的で得策かを考えた結果だ」と説明。初飛行時期がずれ込むことで、初飛行後の開発日数は従来のスケジュールより短くなるが、「飛行試験は日本と米国で効率よくやっていく。初号機納入のスケジュールは守れる」と自信を示した。

直前まで三菱航空機は6月初旬までに初飛行を実現させたい考えだった。6月中旬には、航空業界の大イベントであるパリエアショーが開催される。その前に初飛行を成功させ、エアショーで開発の進捗を大々的にアピールしたかったからだ。会見では何度も「今回の日程見直しは、あくまで(開発の遅れではなく)飛行試験後の作業をより効率よく進めるための判断」と強調したが、営業面から見れば、エアショーで海外エアラインとの商談に弾みをつける絶好のチャンスを逸したのは痛い。

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