「趣味を仕事にしたい」と考える人の誤った視点 案外難しい趣味との向き合い方、どう考える?

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大人の趣味というのは、あくまでも自分のリソースの範囲内、つまり身の丈にあった範囲で行うものです。

現時点において、MHさんは20代後半にして実家からも経済的な支援を受けている状態ですから、厳しいことを言うと趣味に時間やお金を費やしている場合ではないのです。

独立した大人とは何か、をまずは考えて見てください。歳をとったら大人というわけでも、学校を卒業したら大人というわけではありません。

もちろん経済的に独立しているというだけでもありません。

自分なりの価値観や経験に基づいた軸を有しており、つまり自分オリジナルの志や意見、行動指針を有していることも大切ですし、社会との良好な関係を維持する人間的な深みや他人を理解し認める力も必要となります。そのような前提に立ち、MHさんも今一度ご自身を見直してみると良いでしょう。

夢を諦めた人=何者にもなれないわけではない

そして、何も趣味の世界で稼ぐことを諦めたからといって、「何者にもなれない」わけではありません。

ヒトには多くの顔や側面があります。ある1点だけみてヒトを判断してはいけません。

例えばMHさんから見たら、夢を諦めて会社勤めをしている、というように見えるかもしれませんが、そういったヒトが実は趣味の世界では達人であったりすることもあるでしょうし、会社での評価が芳しくなくともよき家庭人であったりもするわけです。

そして世の中には仕事でも趣味でも手を抜かず人生を謳歌しているヒトが非常に多くいます。

つまり、仕事と趣味を両立していて、どっちも諦めていないのです。趣味を仕事としていないからといって諦めたわけではなく、両方でベストを追いかけるために、自分の中で趣味と仕事を定義し、位置づけ、向き合っているのです。

自分の趣味の対象のマーケットがあまりにも小さくて仕事にはできないというケースもあるでしょうし、そもそも論として向き不向きもあれば才能もあります。

そういったことも総合的に判断して、趣味との向き合い方や自分の人生における位置づけを考え、行動するのです。

言い換えると自分の人生の中に趣味を位置づけたうえで、その趣味をどのようにとことん楽しめるかを考えることが大切です。

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