「音大卒」は、ビジネス社会でも武器になる 「ピアニストは撃たないでください」

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音大で得られる武器とは?(写真:atelietoru / Imasia)

西部開拓時代のアメリカの酒場には、ケンカ騒ぎの殺し合いからピアニストを守るために、「ピアニストを撃たないでください」と貼り紙がしてあったという。経済戦争などという言葉がある現代にも、同じことが言えると私は感じている。経済優先の社会から、芸術やスポーツなど、祝祭の能力をもった人を守らなければならない。本書(『「音大卒」は武器になる』)は、長らく銀行員として働いたあと、現在は武蔵野音楽大学の就職課に勤務している大内孝夫氏が書いた、異色のキャリアガイドである。

音大と縁が薄い人にも読んで欲しい

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音大への愛が詰まった本書を読めば、現役音大生や、音大志望の高校生の方はもちろん力が湧いてくる。そして、その親御さんも安心されるだろう。しかし私は、本書を、音大に縁の薄い方々にこそ読んで欲しい。企業の採用担当者、子を持つすべての親、音楽以外の芸術系学部出身の方などである。それは、最初に書いたような社会環境の中で、芸術を志す芽を摘んではいけないからだ。

経済環境が厳しくなればなるほど、短絡的に生活の糧を得る方法を求めてしまいがちだ。そこで失われるのは何か。だからこそ、いま本書が必要なのである。

受験生が音大への進路希望を打ち明けると、多くの親や教師は「音大を出て、どうやって食っていくのだ!」と言うかもしれない。しかし、これからは「東大を出て、どうやって食っていくのだ!」という言葉も、同時に当てはまる時代なのだ。

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