「いわき市民の被害直視を」原発訴訟原告の願い 3月10日仙台高裁判決、焦点は「国の責任」明記

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福島地裁いわき支部に提訴した「いわき市民訴訟」の原告と支援者(筆者撮影)

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仙台高等裁判所で3月10日、東京電力ホールディングス・福島第一原子力発電所事故をめぐる重要な訴訟の判決が予定されている。2011年3月11日の原発事故当時、福島県いわき市に在住していた原告1337人による「いわき市民訴訟」だ。

昨年6月17日、最高裁判所は「生業(なりわい)訴訟」など先行する4訴訟に関して、「事故は回避できなかった」として国に法的責任がないとの判決を出した。ただ、最高裁判決では国の責任の有無をめぐり、裁判官の間で一部異なる見解が出された。

4人のうち1人の裁判官は、「長期評価」と称する国の津波リスク評価を通じて事故を予見できていたとしたうえで、国が法令に基づき東電に対策を指示しなかったことについて「著しく合理性を欠く」と断定。原告が求めた建屋の水密化などの対策を実施していれば、炉心溶融という重大な事故を回避できた可能性が高いとした。

先行した4訴訟の最高裁判決から約9カ月後の今回の高裁判決に、最高裁が示した判断はどう影響するのかが焦点だ。

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