今も行われる邪悪な人身取引、日本も当事者だ 『現代の奴隷』書評

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『現代の奴隷 身近にひそむ人身取引ビジネスの真実と私たちにできること』モニーク・ヴィラ 著
現代の奴隷 身近にひそむ人身取引ビジネスの真実と私たちにできること(モニーク・ヴィラ 著/山岡万里子 訳/英治出版/2640円/308ページ)
[著者プロフィル] Monique Villa/トムソン・ロイター財団アドバイザー、元CEO。AFP通信で記者として活躍し、AFPの国際パートナーシップ構築にも尽力した。プロボノ法務プログラム「TrustLaw Connect」、女性の権利向上を目指す「Trust Women Conference」を創設。

コロンビア人のマルセーラは小柄でチャーミングな女性だ。16歳の頃からシングルマザーで、経済的に困窮していた21歳のとき、親切そうな男に500ドルを用立ててもらった。男は、「仕事を紹介する」など言葉巧みに彼女を欺き、国外へ連れ出した。

飛行機に乗るのも初めてだったマルセーラが異国に着くと、「5万ドル返さなきゃいけない」「お前は売春婦になるんだよ」と告げられた。逃げれば家族を殺すと脅された。日々売春を強要され、周りでも、中南米、ロシア、中国から来た女性たちが同じ被害にあっていた。暴力団から逃げてコロンビア大使館に駆け込むまでの18カ月間、彼女は奴隷として搾取され続けた。

これは20年ほど前の東京での出来事である。常連客の日本人は当初、「お前は誘拐なんかされてない、(中略)もっと金をせびろうって魂胆か」と言い、彼女が誘拐されたことを信じなかったという。

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