セブン銀行、期待の「アメリカATM」で生じた誤算 金利上昇が逆風に、東南アジアで挽回なるか

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セブン銀行は国内でのATM需要の先細りを見据え、海外に活路を見いだす。しかし進出から10年が経つアメリカ事業が今、試練を迎えている。

アメリカのコンビニ店舗内に設置された、セブン銀行子会社・FCTIのATM。現金の入金ができないなど、日本と比べて機能はシンプルだ(写真:セブン銀行)

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「このまま赤字が拡大していくしかないのか」。2月3日に開催された、セブン銀行の2022年4~12月期決算説明会。こんな質問が投げかけられたのは、不振に陥るアメリカ事業だ。

セブン銀は国内のATM需要の先細りを見据え、海外に活路を見いだそうとしている(セブン銀の経営課題について詳細はこちら)。市場の大きいアメリカを筆頭に、インドネシアとフィリピンでもATM事業を展開し、海外に設置したATMは1万5000台を超えた。

ところが、とりわけ期待を寄せていたアメリカ事業が今、踊り場を迎えている。2019年に黒字化を達成して以降、順調に収益を拡大させていたが、2022年は業績の落ち込みが鮮明となった。

「コンビニ店舗内」での成功モデルを再現

セブン銀がアメリカに進出したのは2012年。現地で約2500台のATMを設置・運営する「FCTI」を買収したのがきっかけだ。翌年には同業のATM事業を買収し、設置台数は約7500台に伸長。2022年末時点では約8700台にまで拡大した。

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