寿司テロで浮き彫りになった迷惑客の「世代交代」 炎上事件の教訓はなぜ若者に受け継がれないか

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これらの結果から、ボリュームは不明ながら、ツイッターとインスタ・TikTokを併用している10代は、それなりにいると推測できる。となると、「知識として『バカッター事案』を身につけているか」もそうだが、「異なるプラットフォームへ転載される可能性を認識しているか」も重要になってくる。

記憶に新しい「下着ユニバ」騒動

SNS投稿が、転載先で炎上する。直近だと2022年10月に、露出の多い服装でユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)を訪れた女性たちのインスタ投稿が、ツイッター上に転載され、「風紀を乱すのでは」と批判が殺到した。

筆者は当時、当サイト(東洋経済オンライン)のコラム「下着ユニバが『令和らしい炎上』である3つの理由」内で、以下の3点を理由にあげ、この事案が「令和の炎上テンプレ」的なケースだと説明した。

(1)技術革新によって断ち切られた文脈
(2)インスタとツイッターといったサービスによる文化の違い
(3)仲間内と世間での価値観の違い

上記コラムでは、「称賛」でつながるインスタと、斜に構えがちなツイッターには文化の違いがあり、「インスタの常識が、ツイッターの非常識」になることも多々あると指摘。コミュニティー内で完結するはずの内輪ノリでも、実際は衆人環視にさらされているという、認識の違いにも触れていた。

SNSサービスが増えたことにより、いまや第三者による転載は当たり前。「バカッター第1世代」と「第2世代」の違いは、あらゆる投稿が本人も気付かぬうちに、プラットフォーム間を飛び越える時代になったことにあるのではないか。

だが、そもそも若者は、承認欲求に身を委ねやすい。筆者もそうだが、「若気の至り」と呼べる経験を持つ、それなりの年齢の読者も少なくないだろう。

そう考えると、未来ある人々の事故を防ぐこともまた、良識ある先人の責務だ……とまでは言わないが、身近な人が道を踏み外さないためにも、過去の歴史を踏まえておくこと、そして第三者による転載が、いつ起きるかわからないこと。これらを認識しておくのは、決して無駄ではないだろう。

城戸 譲 ネットメディア研究家・コラムニスト・炎上ウォッチャー

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きど・ゆずる / Yuzuru Kido

1988年、東京都杉並区生まれ。日本大学法学部新聞学科を卒業後、ジェイ・キャストへ新卒入社。地域情報サイト「Jタウンネット」編集長、総合ニュースサイト「J-CASTニュース」副編集長などを経て、2022年秋に独立。炎上ウォッチャーとして「週刊プレイボーイ」や「週刊SPA!」でコメント。その他、ABEMA「ABEMA Prime」「ABEMA的ニュースショー」などネット番組、TOKYO FM/JFN「ONE MORNING」水曜レギュラー(2019.5-2020.3)、bayfm「POWER BAY MORNING」などラジオ番組にも出演。政治経済からエンタメ、炎上ネタまで、幅広くネットウォッチしている。
X(旧ツイッター):@zurukid

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