3月29日、三井物産が六本木の東京ミッドタウンで会社説明会を開催した。この時期に会社説明会は珍しくないが、三井物産の説明会は参加人数が1800人と圧倒的に多い。会場の東京ミッドタウン地下1階のホールは、通常ならば10社以上の合同企業説明会で使用するような大会場。ここを1社で貸し切り、9時30分から18時20分まで1日かけて説明会が行われた。
わかりにくい総合商社をわかりやすく
社員は採用担当者だけでなく、田中浩一・代表取締役専務をはじめ社内の各部門から合計50人以上が参加。海外研修中の社員8人もSkypeでリアルタイムで登場し、学生からの質問に答えた。この説明会は「三井物産史上最大の説明会」と銘打たれていたが、まさしくそのとおりの大規模説明会だった。
しかし、学生に人気のある三井物産が、なぜこれほど大がかりな説明会を開催したのか。三井物産ならば、黙っていても多くの学生がエントリーするはずだ。
三井物産の中野真寿・人材開発室長は「学生の間では、総合商社は何をしているのかわかりにくいとの声が多かった」と言う。総合商社は業務内容が幅広いので、1時間程度の説明会で会社の内容を理解してもらうのは困難だ。また、総合商社といえば「体育会系マッチョの職場なので、女性には働きにくい」とのイメージもあった。
そこで、より多くの学生に、広く深く企業を理解してもらうために大規模説明会を開催することにした。
「人気企業だからといって、何もしなかったら大変なことになってしまう。チャレンジしたら優秀な学生がもっと多く入社するかもしれない。1年以上前から準備してこの説明会を開催した」(北森信明・人事総務部長)。
採用活動に人事部以外の部署の協力は不可欠だが、他部門が面倒くさがって非協力的というのはよくある話。しかし、「人事部が採用するのではなく、全員で採用する」との方針で、他部門からの協力を取り付けた。
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