マクドナルドの浮沈握る"出戻り幹部"の手腕 藤田時代からの生え抜きがCOOに返り咲き
「マクドナルドの商品の品質と安全性について、株主の皆様に多大なご心配をかけたことを経営陣一同、心からお詫び申し上げます」。サラ・L・カサノバ社長がこう述べた後、壇上の幹部全員が頭を下げた。
日本マクドナルドホールディングスは3月25日、東京都内で株主総会を開催。品質問題に端を発する苦境が続く中でも、大きな混乱もなく、2時間43分で終了した(昨年は1時間54分)。
原田泳幸時代の明と暗
今回の総会では、人事面で3つの大きな決定が下された。
1つ目は、11年にわたってマクドナルドを牽引してきた原田泳幸会長の退任だ。同氏は2004年に米アップルの日本法人社長から日本マクドナルドのCEO(最高経営責任者)に転身した。直営店のフランチャイズ(FC)化を進め、固定費負担を圧縮。2011年度には過去最高となる276億円の経常利益を記録した。
だが、FCへの転籍で給料が減る社員も多く、経験豊富な店長を中心に優秀な人材が大量に会社を去る。急速なFC化は現場力の低下を招き、業績も12年度以降は下降線をたどった。さらに、2014年度は相次ぐ品質問題が追い打ちをかけ、2001年の上場以来、初の営業赤字に沈んだ。
こうした中で今年1月、地方のFCに出向していたある人物を急きょ本社に呼び戻す。下平篤雄氏。この総会で代表取締役副社長兼COO(最高執行責任者)に就任した。これが2つ目の決定だ。
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