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NHK経営に「日本銀行流」がどこまで通じるのか 元日銀理事のNHK新会長「独立性」への挑戦

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新しくNHK会長に就任する稲葉延雄氏は、日銀の自主独立に腐心してきた人物だ。

NHK会長に就任決定した稲葉延雄氏の会見
NHK会長就任決定記者会見で記者の質問に答える稲葉延雄氏。2022年12月6日(写真:毎日新聞社/アフロ)

日本銀行にとって1996年は重要な年だった。「国家目的ノ達成ヲ使命トシテ運営セラルベシ」という戦時立法の日銀法(旧法)を改正しようという機運が盛り上がったのだ。

不祥事が相次いだ大蔵省(現財務省)の権限縮小が議論の出発点だったのだが、あれよあれよという間に、「日銀の独立性確保」に向けた動きが加速した。

議論のたたき台を作ったのは中央銀行研究会(首相の私的研究会)。官邸で開かれた同年10月31日の会合で、こんな発言がなされたと議事録に残っている。

「国権の最高機関に引っかけるということは、NHK方式みたいになるわけですね。そういうことになるともっと政治の介入を許すことになって、政治が予算や決算を通じてもっともっと文句を言えるような状況になってしまう」

「むしろそういうのは避けたほうがいいんじゃないか。NHKなどを見ているとそうとうご苦労なさっていらっしゃいますから、予算を国会に持っていかれちゃったときはもっとひどくなるので、(人事の)任命のところだけ国会に引っかけておくほうが現実的にはいちばん日銀の独立性がうまくいくんじゃないか」(議事録は情報公開法で入手し、主旨を変えない範囲で一部話し言葉を修正した)

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