住宅ローン借り換えで900万円浮かせてみた 史上最低金利の今が最大のチャンスだ

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年齢やたばこを吸わないなどの条件によっては、民間の生命保険会社の「収入保障保険」の方が保険料は安くなるケースもあります。

田中さんが今加入している、生命保険の契約を見てみると、家族の保障のほかに1000万円の保険に入っていたため、収入保障保険を少なくすることができ、年間の保険料は約3万円。20年間のトータルで支払う保険料は約60万円になります。

まとめると、20年の固定金利に借り換えた場合

総返済額+借り換え費用+保険料=約4845万円

今の総返済額5772万円との差、926万円!となりました。

10年固定金利の場合

続いて、固定金利選択型はどうでしょうか。銀行に問い合わせると、10年固定の金利は、フラット35と変わらない1.2%でした。借り換えに必要な費用の合計も、約90万円で同じ。

違うのは、銀行の団体信用生命保険の保険料は別途必要ではないため、フラット35の総コストが60万円ほど高くなります。ただし10年目以降、金利上昇があれば10年固定金利の方が総返済額が増えます。

どれくらいの金利が、損益分岐点になるでしょう? 20年固定金利1.2%で3000万円借りた時の総返済額は、3375万円。ここに60万円を足して3435万円。

10年間の返済額は1687万円ですから、

3435万円-1687万円=1748万円。

1748万円以上の返済額となれば、20年固定金利の方がお得となります。10年後の残高は1589万円残りの10年間の総返済額が1748万円となる金利を出すと1.92%。固定期間終了後、0.72%金利が上昇すれば、全期間固定の方がよかったことになります。

変動金利の場合

変動金利0.57%で借りた場合はどうでしょうか。返済総額は、ずっと低金利の0.57%が続いた場合で3174万円です。20年固定との差は約200万円。借り換えの手数料はほぼ変わらないので、20年固定の方が団信の保険料約60万円分と合わせて260万円高くなります。

金利はいつ上昇するかわかりませんが、仮に5年後に金利が上昇した場合をシミュレーションしてみましょう。

0.5%上昇、総返済額3264万円
1%上昇、総返済額3356万円
1.5%上昇、総返済額3449万円

0.5%上昇ごとに、約90万円総返済額が上がります。5年後に1.5%変動金利が上昇すれば、団信代わりの収入保障保険の保険料を加えても、20年固定のほうが総返済額が少なくなります。

田中さんは、0.5%ぐらいの金利上昇は5年以内にも十分ありうるし、その後も1.5%以上の金利が上昇するのは想定の範囲内。今は子どもも小さくそれほどおカネもかからないので、借り換えの手数料も払えるからということで、ちょうど60歳に到達する前に返済が終わる固定金利20年への借り換えを実行することにしました。926万円を浮かせたことになります。

田中さんは今回、借り換えをきっかけにマネープランに興味が出て、浮いたおカネは投資信託などで運用しておカネを増やすという目標もできました。

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