大企業と起業家を結ぶモデルの可能性とは? KDDI「ムゲンラボ」の目指すものとは?

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KDDI ∞ Laboが入る渋谷ヒカリエ

今後は、ビジネスマッチングをさらに強化するため、情報共有・協業を促進するWebサイトコミュニティを構築するとともに、パートナー企業とスタートアップ企業とのミートアップイベントを開催するなど、オンライン/オフライン両面のマッチング施策を導入していくとのこと。大阪イノベーションハブをはじめとする地方スタートアップ支援団体と提携する地方連携も始動する予定です。

このパートナー連合プログラムのスキーム形成の原点にあったのは、事業会社各社における起業家とのコラボの気運の高まりと、その一方で、しっくりとくる手法を見つけられないでいたことです。

「事業会社の新事業担当の方と話していると新事業開発は大きな課題と認識しつつも、具体的にどんなことをやれば良いのか検討中との話が多かったのです。一方、当社も今までのKDDI ∞ Laboの活動の中で、通信・インターネットの領域だけで起業家の応援するのは限界があると感じていました。そこで、一緒にやりましょうということになったのです」と江幡ラボ長。先駆者たるKDDIとともに起業家を支援する事業会社連合ができました。

大企業と起業家とのコラボの成功要因

経済産業省が事務局をする「ベンチャー創造協議会」の大企業とベンチャーのマッチングイベントでは、多くの大企業担当者が参加して連携を図ろうとしています(『ベンチャー創造協議会」が担う役割とは?』はこちら)。

その中で、オーナー企業など経営者のリーダーシップの強い企業やベンチャーから大企業に成長した企業は、機動的なベンチャーとの連携を実現していますが、既存の大企業の多くはベンチャーとの連携の方法を模索しているようです。

その要因は組織や意思決定にあると考えられます。大企業の新規事業担当者などに実施したアンケート(145人が回答)でも、大企業とベンチャーの連携を阻む要因として、68%の方が「組織内部の調整・自前主義」が問題と解答し、次いで「組織の意思決定のスピード」が56%を占めます。

このような問題に対して、KDDI ∞ Laboの活動をはじめ、KDDIではどのように対応しているのか、江幡ラボ長は3点を指摘します。

トップ層の巻き込み
社長や専務などの経営幹部にできるだけ現場に出てもらいベンチャーとの接触の機会を増やす

独立した評価指標・意思決定
 新事業やベンチャー連携事業について、既存の事業から独立した評価指標や意思決定の仕組みを導入する(KPIは売り上げとしないなど)

事業部門の巻き込み
 新事業開発部門のみで小さく進めるのでなく、一定規模以上でプログラムを実施して事業部門を巻き込んでいく

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