脱キティ依存?サンリオ"萌え系戦略"の勝算 「SHOW BY ROCK!!」でファン層は広がるか
その一方で、ターゲット層の偏りが課題でもあった。サンリオキャラの顧客層はほとんどが女児や女性で、男性層に広く受け入れられているキャラクターが極めて少ない。海外では売り上げシェアの9割以上がキティ、国内でもキティとマイメロ、キキララの3キャラクターで7割以上を占めている。
もちろんこれまで、男性客を狙ったキャラクターも開発してきた。男児向けに、パトカーやヘリコプターの「ザ ラナバウツ」、新幹線のキャラクター「シンカンセン」、男性向けには、サルの「ベイビーマイロ」などだ。ただ、誰でも知っているキャラクターまでには成長しきれていないのが実情。そんな中、これまでの路線から脱し、男性マーケット開拓のため新たに開発されたのがSHOW BY ROCK!!だ。
萌え要素を貪欲に取り込む
開発を手掛けたのは、5年前に新設されたキャラクタークリエイション室。サンリオの王道キャラとは異なる、新しい発想でキャラクターを作り出す同部署は、テレビやLINEスタンプなどで人気となっている、たまごのキャラクター「ぐでたま」をヒットさせている。
変わり種キャラの開発に一日の長がある彼らが次の照準を定めたのは、男性の中でも、アニメ好きの大人の男性。「私自身、子供のために買う以外で、サンリオグッズを買うことがなかった。もともとゲームやアニメが好きなので、同じような趣向の男性ユーザーが支持してくれるものを作りたかった」と、開発を手掛けた高橋卓也チーフクリエイターは話す。
アニメ好きの大人の男性に支持してもらえるキャラ作りとなれば、もちろん、軸となるのは女性キャラクター。まず、将来的なグッズ展開を考え、立体物などの商品がそろえやすく、サンリオが得意とする頭身の低いキャラクター(SDキャラクター)の開発がスタートした。
萌え系好きの男性を狙い、キャラクターにメイド風の格好をさせたり、うさみみ(ウサギの耳)をつけたり、髪型をツインテールにしたり……。「でも、これだけでは支持を得るには弱い」(高橋チーフクリエイター)。
そこで思い切って、実際に秋葉原でよく見かけるような、等身の高い美少女キャラクターに“擬人化”する戦略へ舵を切った。行き着いた先に生まれたのが、これまでのサンリオからは想像できない、萌え系キャラだった。
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