大人の音楽教室、生徒獲得へ新たな取り組み 平均年齢が上昇、シニア層取り込みに躍起

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その中から選んでもらうためには、基本料金に加え、設備管理費などを含む総額で月1万円前後の現状価格が、社会人にとって許容範囲という実情がある。

現在の生徒の構成を見ると、10~20代は1割強程度。平均年齢45.5歳と、年齢層は大幅に上昇している。そこで、ヤマハは楽器数やレッスンコースを増やすだけでなく、社会人が退勤後に通いやすいよう、大都市部に大型会場を開いた。

現在人気の楽器レッスンは1位ピアノ、以下サクソフォン、ドラム、フルート、アコースティックギターという順になっている。

健康を訴求し、シニア層取り込み

河合楽器の音楽教室は、鍵盤楽器メーカーらしく、生徒数2.5万人のうち、ピアノが半数を超える。また、4~5人程度のグループレッスン主体のヤマハとは異なり、個人レッスンであることも特徴だ。

それでも、生徒数はリーマンショック以降、足踏み状態が続いている。これまで、音楽を題材にした映画のヒットや社会的なブームが起こると生徒数も増えた。しかし、ここ数年は大きな音楽ブームやイベントは見当たらない。

そこで目をつけているのがシニア層。「2014年から60代対象の楽器レッスンやコーラス、健康維持コースの宣伝告知をして生徒を獲得している」(河合楽器)。ヤマハもフィットネスと音楽を組み合わせた60~80代を狙ったレッスンの販促を本格化する。こうした差別化を訴求していかないかぎり、価格を上げることは難しそうだ。

(「週刊東洋経済」2015年3月28日号<23日発売>「価格を読む」を転載)

鶴見 昌憲 東洋経済 記者

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つるみ まさのり / Masanori Tsurumi

紙パルプ、印刷会社等を担当

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