スマホ決済事業は、なぜ儲からないのか 米スクエアは徐々に融資事業へシフト

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その目的にかなうのが、「スクエア・キャピタル」などのデータを生かした事業者向けサービスだ。スクエア・キャピタルは、つまりは現金の貸し付けを行う事業で、スクエアを利用する小規模事業者に対して4000ドルから1万ドルの小口資金を融通する。

融資の案内は同社によるデータ解析を基に送られる。支払いの処理を通じて得られた情報から顧客の事業の仕組みを理解し、資金融資のニーズがありそうかどうかを判断する。

儲かる融資事業にチャンスを見い出す

この事業の利幅は大きい。顧客は借入額に10%から14%を上乗せしてスクエアに返済する。また、パートナー企業のビクトリー・パーク・キャピタルからも、顧客開拓と顧客対応の代金として手数料を受け取る。スクエアによると、これまでに2万以上の事業者に1億ドル以上を融資したという。

CFOのフレイアーは言う。「銀行から融資を受けられない人々は確実にいる。理由は何であれ、本当の企業のように扱われないのだ。私たちにとっての確かな市場機会がここにある」。

スクエアはほかにも、小規模事業者向けにデータを生かしたサービスを提供する。新しく導入する即時入金サービスは、引き落とし口座に入っている資金により速くアクセスできるようにするものだ。現在は試験段階で、春頃には利用できるようになる予定だ。また、顧客と事業者との支払いに関するもめごとの一部をカバーする、入金取り消し補償も導入される。

では、もう一度考えてみよう。スクエアとは何の会社なのか。

「昔と変わっていない。少なくとも、あまり変わってはいない」とスクエアは言うだろう。取締役のボタは言う。「いまでも、基本的には決済事業を行う会社と定義している。ただ『決済事業』という言葉の意味が、昔とは違うものになっているとは思う」。 

(執筆:Mike Isaac 記者、翻訳:東方雅美)

(c) 2015 New York Times News Service

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