「やる気のない学生とはお茶を飲め」の深い意味 欧州出身の私が学んだ日本における「いい先生」

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私は幸運にも、この教訓を日本滞在の初期に学ぶことができた。ヨーロッパで優秀な教授であるからといって、日本でも優秀な教授であるとは限らない。日本とヨーロッパでは権力形態、リーダーシップスタイル、期待値が大きく異なるのだ。

異文化間のリーダーシップは、予想以上に難しいものである。文化的背景の異なるチームメンバーは、それぞれ異なるリーダーシップスタイルを期待する傾向があり、チーム内での対立や混乱を引き起こすことがある。

異文化チームをまとめるには

権力の使い方やチームを率いる方法についての考え方の対立は、多くの異文化間紛争の根底にあるものである。リーダーシップに情緒的な権力を用いることは、欧米のマネジャーからはプロフェッショナルではないと見られ、地位の権力を重視することは、日本のマネジャーからはあまりにも無知で攻撃的と見なされる可能性がある

したがって、異文化間におけるリーダーシップの成功は、まず自分自身のリーダーシップスタイルを分析することから始まる。これは簡単なことではない。なぜなら、誰もが自分のスタイルが最も自然で「最善」だと思われることが多いからだ。

かつて私のように、多くのマネジャーが、新しい環境で自分のリーダーシップスタイルが期待される結果につながらないとき、初めて自分が文化的な権力構造に強く影響されていることに気が付くのだ。

ここで重要なのは、チームメンバーがどのように動機づけられているかを知り、彼らが最良の結果を得るために自らのスタイルを調整することである。私はこの教訓を苦労して学んだ。

次ページ異文化チームで結果を出すのに必要な「権力」
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