「やる気のない学生とはお茶を飲め」の深い意味 欧州出身の私が学んだ日本における「いい先生」

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すると、同僚はこう言った。「日本では、いい教授は教えるのが上手なだけでなく、学生とも強く良好な人間関係を築いている。学生と一緒に食事をしたり、合宿に行ったりするのが習慣になっており、教えるのが上手なだけでは十分ではない」

働かない学生とは「お茶を飲め」

彼の説明を聞いてとても驚いたが、別の出来事で、同僚が正しかったことを知った。

私は研究のために、多くの企業調査を行わなければならない。ヨーロッパのビジネススクールでは、学生を雇って企業に電話をかけたり、アンケートを送ったりしてもらう。彼らはこの仕事で報酬を受け取り、仕事を非常に早く終わらせることを好む。

日本でも同じことをしようと計画して、4人の学生を雇って200社にアンケートを送付した。以前の経験に基づき、私は日本人の学生も仕事を終えるのに1週間かかると想定していた。私は、彼らが主に金銭的な動機で、早く仕事を終わらせたいと考えているものとばかり思った。

そこで、彼らに詳細な予定を示し、あとは各自で仕事をするように仕向けた。しかし、これはまったく機能しなかった。 3カ月経っても、150件の回答しか得られなかった。

どうしたらいいのか、と同僚に尋ねると、彼はこう答えた。「学生たちと一緒にお茶すればいいんだよ」。学生たちとお茶をすることで、どうして作業が早くなるのか、よく理解できなかった。ヨーロッパだったら、学生たちと一緒に座って、プロジェクトの問題点を話し合うところである。

ともかく、私は彼のアドバイスに従って、ケーキを買い、お茶を入れ、午後には学生たちとおしゃべりをした。翌朝、学生たちから「プロジェクトが終わった」と告げられた。200社すべてに連絡し、アンケートに答えてもらっていた

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