リクルート、"赤字予約サイト"買収の胸算用 ドイツの新興企業買収で狙うものとは?

拡大
縮小
リクルートが買収を発表したクアンドゥーのドイツ版サイト。急速に掲載店舗数を伸ばしている

ついに販促メディアでも海外展開に乗り出した。リクルートホールディングス(HD)は3月5日、クラウド型の飲食店予約サービスを提供する独クアンドゥーの買収を発表した。

同社は2012年11月に設立されたベンチャーで、欧州を中心に13カ国で事業を展開。経営陣には米グルーポンの創業メンバーをはじめ、スタートアップ企業での事業経験を豊富に持つメンバーがそろう。一方で、まだ事業拡大のための費用が先行していることから、直近の2014年度は売上高6億円に対し、EBITDA(償却前営業利益)は13億円の赤字に沈んでいる。

目標はオンライン飲食予約で欧州1位

今回の買収金額は271億円で、足元の業績を考慮すると割高な印象は否めない。が、リクルートHDの佐川恵一取締役は「十分に適正価格で、3年後の黒字化が視野に入っている。欧州でオンラインの飲食予約数ナンバーワンを目指す」と説明。成長期待を含んだ買収金額ということのようだ。

欧州では飲食店予約サイトの競合が複数存在するが、トップシェア企業の店舗掲載数が1万件なのに対し、2位のクアンドゥーは今年2月末時点で6000件と急速に追い上げている(2013年度は1067店)。今後は営業を強化し、2~3年後に3万店舗まで増やす方針。そこにリクルートのポイントプログラムなどのノウハウを移植し、ユーザーを囲い込む目論みだ。

リクルートHDは、2012年に世界最大の求人サイトを運営する米インディードを950億円で買収。今年に入ってからも豪州の人材派遣2社を総額360億円で買収するなど、着実に大型買収の経験とノウハウを積み重ねている。「2020年に人材領域で世界ナンバーワン」という目標に向け、さらなる大型買収に意欲を燃やす。

次ページ今回の買収は少し意味合いが違う
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT