4月発売!AppleWatchは、はたして売れるか 花形技術者を投入し満を持して発売

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デザイン担当上級副社長のジョナサン・アイブやオペレーション担当上級副社長のジェフ・ウィリアムズ、それにアドビの元役員でウォッチ用ソフトウエア開発責任者を務めるケビン・リンチといった花形幹部も参加している。

なかでも大変だったのは、切手くらいの大きさしかない基盤に高機能チップとセンサーを詰め込むことだ。

アップルは2年近く前、血圧とストレスをチェックする高機能な体調モニタリングセンサーの実験を行った。だが数カ月後、センサーの信頼性が低く扱いにくいことが判明して実験の多くは中止されたという。

アップルがウォッチの初代機に心拍計やモーションセンサーを採用し、「iPhoneと連携して運動量などをモニタリングする機器」という切り口から売り込みを図ると決めたのはずっと前のことだ。またウォッチには、モバイル決済のためのチップも搭載されている。

キーマンを引き抜かれた過去

サイズが小さいがゆえに、バッテリーの持ちも大きな課題だった。また技術者たちは充電方法について検討を重ねた。太陽光発電をはじめ、さまざまな方法が試されたが、最終的には無接点充電方式で落ち着いた。

アップルによればバッテリーの持ちは丸1日くらいだというから、スマートフォンと同じで毎晩充電しなければならない。詳細は不明だが省電力機能も搭載。時刻だけを表示するエネルギー消費を低く抑えたモードだという。

Apple Watchの発売時期は、技術的な問題から当初の予定よりも遅くなった。その一方で、重要な役割をはたしていた社員が何人もアップルを去って行った。

たとえば昨年、グーグルに買収されたネット接続機器開発のネストラボからもウォッチ開発チームの非常に優秀な技術者が数人、引き抜かれた。携帯音楽プレーヤーiPodのソフトウエア責任者だったブライアン・ジェームズもそのひとりだ。ネストラボに移った彼は、昨年前半に同社の技術担当副社長に就任したという。

4月にウォッチが発売されるころには、市場は「アンドロイド・ウエア」を搭載したスマートウォッチであふれているだろう。アンドロイド・ウエアはグーグルのスマートフォン・タブレット向け基本ソフト「アンドロイド」のウエアラブル端末向けバージョンだ。

これまでのところ、アンドロイドを搭載したスマートウォッチの売れ行きはかんばしくない。調査会社カナリスによれば、アンドロイド・ウエア搭載スマートウォッチの昨年の出荷台数は72万台だった。

カナリスのアナリスト、ダニエル・マッテによれば、この数字だけを取り上げてスマートウォッチは失敗だと言うのは早計で、来年にはApple Watchがスマートウォッチの売り上げ第1位になると予想している。

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