がんばるな!合理的手抜きが成果をあげる 「がんばり」が有害化している事例は多い

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その模範となるのが、質の高い努力とチームワークが得意な自営業者。これからの組織は、自営業集団を目指すべきだと著者は主張する。NHKの人気ドキュメンタリー番組「プロジェクトX」や、成功している商店街を事例に説明しているのでわかりやすく、読者も「なるほど」と思うところが多くあるに違いない。

承認欲求を刺激して組織を育成

さらに、そうした集団を育てるための管理術として重要なのは、誰もが持つ名誉欲や野心など、社員の承認欲求を満たすことだという。具体的な仕組みとしては、表彰制度をはじめ、個人の創意工夫やアイデアに発案者の名前を明記する「シグネチャー・ポリシー」などを提唱している。

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今後、日本は長期的な人材不足の時代を迎える。雇用の担い手として安倍内閣も女性に期待しているとアピールするが、長時間労働が美徳とされる社会を変えなければ、妊娠中や産後の女性が肩身の狭い思いで働く状況や、退職を余儀なくされるケースはなくならない。

また、無駄な働き方や理不尽な評価法を変えられない日本に見切りをつけ、海外へと逃げてしまう優秀な若者も増えている。優秀な人材の確保と少数精鋭による生産性向上のためにも、従来の日本人の「残念な働き方」の改善は急務だ。本書が提言するような無駄を省き正しい方向で努力する姿勢は、非常に参考になるのではないだろうか。

佐藤 ちひろ ライター・エディター

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さとう ちひろ / Chihiro Sato

インテリア専門商社にて内装デザインや商品開発リサーチ等を担当後、美容系ECサイトや新聞生活情報面の編集に携わる。独立後は企業取材やライフをテーマにした企画を中心に執筆活動を展開。東洋経済オンラインでは「めちゃ売れ!コスパ最強商品はコレだ」「溺愛される商品にはワケがある」など消費財関連の連載執筆を担当。プライベートでは1児の母。

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