「勉強しないとああなる」暴言に清掃員伝えたい事 ごみ収集作業員が先生?環境学習に携わる職員

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東京23区内では練馬区が積極的に環境学習を展開している。区内に65校ある小学校の4年生を対象にして、練馬清掃事務所と石神井清掃事務所が分担し、2時限分(90分)を使った環境学習に協力している。

内容は大きく分けて3つあり、①分別体験、②資源とごみの流れの学習、③清掃車への積込作業見学で構成されている。

①分別体験(冒頭の写真)では、練馬区の分別方法を理解するために、少人数に分かれて実物(模擬ごみ)を利用しながらクイズ形式で可燃ごみ、不燃ごみ、資源の分別方法を学ぶ。そこでは、紛らわしいプラスチックの分別について、「プラマーク」の有無を確認しながら資源と可燃ごみの区別を体験する。

また、そのときには、「牛乳パックをきれいに洗って資源として出してくれれば、6枚でトイレットペーパーが1つできるよ」といった話も交えながら、分別方法を伝えていく。

自作のパネルを利用して3Rを伝える

②資源とごみの流れの学習では、収集された資源やごみがどのように処理・処分されていくかを学ぶ。ごみの焼却灰を埋め立てる東京湾の新海面処分場の延命化のために3Rが必要であると伝え、確実な分別や廃棄を呼びかけている。

自作のパネルを利用して3Rを伝えている様子(筆者撮影)

③清掃車への積み込み作業見学では、清掃車両のタンクの内部構造を確認できる「スケルトン車」を構内に搬入し、ごみの積み込みを実演している。そこでは、車両の内部装置の仕組みや足元の緊急停止装置の説明をし、安全作業を心がけていることを伝えている。

清掃車の機能を説明する様子(筆者撮影)

これらの説明は、子どものみならず大人の興味も引いている。周りで聞いている教諭や参観日で来校している保護者は、清掃職員の話に聞き入ってしまう。これまで排出後のごみの行方にそれほど興味を持っていなかった人に対して、ごみ排出への意識を向上させ、清掃事業への理解を深めさせる効果もある。

次ページ根底に存在していた清掃差別
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