東急不、「ゴッドファーザー社長」交代のワケ 渋谷や数寄屋橋の再開発はどうなる?

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大隈郁仁(おおくま・ゆうじ)●1958年生まれ。1982年に横浜市立大学卒業、東急不動産入社。ファンド推進部統括部長、ビル事業本部長などを経て、2015年4月に社長就任予定

――これからの事業戦略については?

大隈:今後ますます人口減少や高齢化が進み、国内の総需要は減少していく。一方で、シニアやインバウンドといった新しい需要の拡大、管理・仲介・リフォームなど既存ストック市場の活性化が見込める。

中長期計画の最終年度である2020年に向けて、渋谷や銀座など優良アセット(資産)の開発に加えて、外部からのアセット獲得を進めていく。ウェルネス、ハンズのような独自の事業領域や、1000万人を超える客との接点がグループとしての強み。新たな成長分野と掛け合わせて、成長させていく。

大隈氏の後継指名は既定路線だった

金指潔(かなざし・きよし)●1945年生まれ。1968年に早稲田大学卒業、東急不動産入社。都市事業本部長、東急ホーム社長などを経て、2008年東急不動産社長に就任。2013年から現職。2015年4月に会長就任予定

――経歴を見ると、ビル事業の時に銀座(5丁目プロジェクト、旧数寄屋橋阪急の跡地)を取得している。

大隈:確かに、銀座は私がビル事業をしている頃に取得した。リーマン・ショック前のファンドバブルの頃なので、高値でチャレンジした案件。のちにバブルが崩壊して大変だったが、私の後を引き継いだ皆が頑張ってくれた。頭が下がる思いだ。

会社員人生のスタートは建売住宅の販売で、人事や宅地開発のラインスタッフ、不動産の証券化、商業施設、ファンド、ビルとやってきたが、マンション分譲はやっていない。軸足はストック事業に置いてきた人間だ。

今の当社はフローが弱く、ストックに軸足がある。中長期計画では「循環型再投資モデル」を標榜し、物件を買っては売るという中で利益を得るスタイルを重視している。フローも育てていきたい。両方のバランスが重要だ。

――大隈氏を後継に指名した理由は?

金指:社長交代について考え始めたのは、自分が社長に就いた時から。当時から大隈と話をし、危機的な現状をどう脱していくか、知恵を絞った。彼は私の考え方を理解してくれている。後を頼もうと考えながら、一緒にやってきた。既定路線で着地できた。

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