「ジェネリック薬不足」が2年以上は続く根本理由 東和薬品社長「品質重視の制度転換が必要だ」

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薬不足の長期化が問題となっている。供給する製造メーカーは今後どういう手を打つのか。業界3位の東和薬品のトップに話を聞いた。

東和薬品の吉田逸郎社長は「ジェネリックメーカーの役割は変わった」と話す(撮影:ヒラオカスタジオ)

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一部メーカーの製造不正を発端に、ジェネリック医薬品業界では昨年から薬不足の影響が長引いている。2020年にはジェネリック大手の日医工で本来の手順として認められない不正な製造が発覚し、主力工場が行政処分を受けた。同社は2022年5月、私的整理である事業再生ADRを申請した。
業界3番手の東和薬品は、2023年度までに工場の増設などにより、2021年度の年産120億錠から175億錠への生産能力向上を進めている。だがそれまでの期間は日夜の稼働や、休日出勤で対応することになる。
日医工の不正は業界全体にどういう影響をもたらしたのか。そして、ジェネリックメーカーの役割はどう変わっていくのか。東和薬品の吉田逸郎社長を直撃した。

薬不足は3年ぐらい続く

――業界内では、足元の薬不足が今後2年ほど続くといわれています。

本当に2年で終わるのかどうか。これ以上新たに、不正が明らかになる企業が出てこないという前提で、あと2年だろう。場合によっては、3年ぐらいかかるのではないか。

事態の収束が見えるのは、業界全体で増産体制が整う時だろう。だが、他社の計画を含めても、完全な稼働は2025年頃となる見込みだ。

今は問題を起こした会社以外が、精一杯製造しているが、それでも生産体制は追いついていない。業界全体で、年間の数量の内10数%が足りない状態で、全部をカバーするのは非常に難しい。

増産して市場に出ても、医療機関の中には「足りないのでちょっと多めに買っておこうか」という動きは必ずあるはずで、実際に在庫の偏在も起こっている。必要な場所に行きわたらないことがまた、薬不足を起こしている側面もある。

――業界大手の日医工が私的整理を申請しています。東和薬品にとってはチャンスですか。

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