ネット時代の「編集者不要論」は本当なのか 「センセー!ゲンコー!」だけの仕事じゃない
Twitter経由で、こんな記事を見つけた。「編集者って何の仕事をする人なんだ。」。さすがにこれは編集者が仕事しなさすぎだろう……と思うが、冷静に考えると、この仕事でもない限り、編集者の仕事を知っている人も少ないはず。
編集者といえば、「センセー! ゲンコー!」と言って追いかけている様をマンガなんかでは見るが、ああいうのは手塚治虫くらいしか体験しない世界だと思うし、そもそも私の知っている編集者の仕事ではない。
「整える」のが基本、だがそれだけじゃない
今回は、著者の目から見た編集者の仕事をお伝えしよう。編集者と彼らが属する出版社を悪者にする声もある。が、その辺にはずっと違和感がある。本メルマガも、敏腕編集者が間に入って作業してくれているから、こういうふうに皆さんのお手元に届いているわけだ。仕事の内容を知れば、「編集者悪者論」への違和感の正体を、みなさんも理解してくれると思う。
まず第一に、編集者の仕事は「最終的な出力にあわせて、原稿を揃えてから整える」ことだ。ウェブにしろ本にしろ、基本的な流れは変わらない。文章にしろ写真にしろ、きちんと「枠の中」に流し込まないと読みづらい。そこに流し込むために、文章や写真の体裁を整える作業がある。原稿を集める、という仕事はその一貫と考えていい。「センセー!ゲンコー!」はこの部分を抜き出したものだ。
この作業はいわゆる「レイアウト」とはちょっと異なる。特に紙メディアの場合、レイアウトは本職のデザイナーが行い、編集者はそのための素材集めをする。ウェブでは、コンテンツ・マネジメント・システム(CMS)に文字や写真を流し込むと、自動的にレイアウトが完成する場合が多い。だから、デザイナーの出番は減ってきているのだが、一方でその結果、ビジュアル面でのクオリティが低くなりやすい点が問題視されている。
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