日産が北米快調でも、中国は「危機モード」 販売は過去最高、利益は2ケタ増の見通し

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中国の主力車種「エクストレイル」は2014年のカー・オブ・ザ・イヤーを受賞した

世界販売は過去最高の383万台を記録し、営業利益は4割増──。日産自動車が2月9日に発表した、第3四半期決算は順調そのものだった。これを受けて通期の業績見通しも上方修正。売上高は過去最高を更新、円安のプラス効果も追い風で、営業利益は2ケタ増の5700億円となる見通しだ。

台数と利益の両面で牽引しているのは、主力の北米市場である。新型SUV(スポーツ多目的車)や中型セダンが貢献し、9カ月累計では2ケタ増となる103万台を販売した。市場全体の伸びを上回る増加に加え、販売奨励金の管理を徹底した効果もあり、営業利益は前期の2.4倍と、採算の改善も著しい。田川丈二常務執行役員は、「もっと高い利益水準が狙える」と自信を示した。

販売計画が下振れ

ただ、期初の計画から見ると“誤算”もあった。北米に次いで販売台数が多く、日系メーカーでは最大のシェアを持つ、中国市場だ。

2014年5月に公表した期初の中国の販売計画は、前期比約18%増となる143万台。同年3月に投入した新型の「エクストレイル」や、主力の中型セダン「シルフィ」の人気に支えられ、上期(1~6月)は好調だった。

ところが下期に入って潮目が変わる。環境規制強化や経済成長鈍化で小型商用車の需要が落ちたことや、中国の主戦場である小型乗用車の競争激化で、7月から12月まで6カ月連続で前年同月を下回った。

これを受けた11月の中間決算発表で、年間の販売計画を127万台と大幅に引き下げた。それでも通期では目標に届かず、前年並みの122万台で着地。中国の需要全体が約7%伸びる中、波に乗りきれなかった。

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