安倍首相の「本気」に屈した「農協」

農民から離れた全中の敗北は必然だった

施政方針演説をする安倍首相。農協組織はすでに、思っていたほど強い組織ではなかった(写真:アフロ)

アベノミクスの成否を分けるのは、成長戦略の成果次第といわれる。その大きい柱の一つにあがっているのが農業再生だ。

安倍晋三首相は、長年「日本農業を指導する立場にある」と考えられてきた農協の規制改革こそ、未来ある農業への一里塚と考え、今回、農協改革を断行する。では、今回の農協改革によって、今までと何が変わるのか、本当に安倍首相は改革に成功するのかどうかを、2回に分けて検証してみたい。

改革の大きな流れを読めなかった「農協の上部組織」

アベノミクスの「三本の矢」政策のうち、第一の矢である金融緩和、第二の矢の財政出動は一定の成果を収めた。残すは第三の成長戦略が最も重要だといわれながら、すでに約2年が経過した。

ひとくちに成長戦略といっても、わかりにくいと思われる。だが、簡単に言えば、これまで国内に産業として培われてこなかった新たな市場を創出したり、既存産業で技術や社会の進歩とともにビジネスとして成り立たなくなってしまい、今や社会のお荷物になっているような分野を、国内産業の柱として再生させることだ。

安倍首相は、これまで国の助成金で支えられていた農業や、同様に保険で賄われている医療分野を「リノベーション」によって成長産業に転換させ、基幹産業として生まれ変わらせたい意向で、岩盤規制の改革に邁進している。

「『農業で頑張っていきたい』というみなさんのため、農協の抜本改革を断行していく覚悟だ」。2014年末の衆院選で勝利した安倍首相は、今通常国会の意気込みを高らかに掲げた。

農業再生により、①農業者の所得拡大、②農業生産の拡大、③地域活性化の3つを大きな狙いとするが、進めようにも、進めない原因が農業協同組合(農協)にあるというのだ。つまり、農業改革のポイントは農協改革であり、法改正の大ナタを振るうと宣言した。

政府が検討した農協改革とは、安倍首相の「全中には脇役に徹して頂きたい」という言葉通り、全中といわれる全国農業協同組合中央会の制度のあり方が問題だと、焦点を絞る。

そこで政府の規制改革会議が昨年11月に全中に自己改革を求めたが、出てきた回答は政府案とは隔たりが大きく、不十分なものでしかなかった。その後も、政府の改革案に抵抗をみせていたが、厳重処分を恐れ、ついに妥協に応じた。

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