気候変動めぐる株主提案、逆風下でも支持拡大 化石燃料ビジネスのリスクは理解されつつある

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三井住友フィナンシャルグループや三菱商事などに気候変動対策を求める株主提案が提出された2022年6月の株主総会。否決されたが、気候変動対策の強化を引き出すことができた。

2022年4月、三井住友フィナンシャルグループの本社前で気候変動対策の強化を求める350.org Japanのメンバーら(写真:kageaki Smith/350.org Japan)

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2022年6月に開かれた株主総会では、気候変動対策の強化を求める株主提案が、環境NGOから日本企業4社(三井住友フィナンシャルグループ(以下、三井住友FG)、三菱商事、東京電力、中部電力)に対して提出された。

国際環境NGO 350.org Japanの代表である私は、個人株主として三井住友FGへの株主提案に共同提案者として参加した。ちなみに、2021年は三菱UFJフィナンシャル・グループ(三菱UFJFG)への株主提案に参加している。

株主提案の目的は、化石燃料ビジネスに関与している企業が気候変動対策を強化し、パリ協定の1.5℃目標に整合する方針を掲げ、気候危機の回避につなげることだ。

今後10年でもっとも深刻な気候変動リスク

気候変動が深刻化していることは、科学者のみならず、世界の政財界のリーダーも認めている。2022年の世界経済フォーラム(ダボス会議)の報告では、「今後10年で最も深刻な世界規模のリスク」の1位は「気候変動への適応の失敗」、2位は「異常気象」だった。

2022年6月、三井住友フィナンシャルグループの本社前で「気候変動に投融資しないで」と訴える市民(写真:Taishi Takahashi/350.org Japan)

気候変動問題において化石燃料を大量に消費する企業の責任は大きい。そこで、株主提案を通じて企業経営のあり方を変えようとする試みが広がっている。2021年にはアメリカの石油大手・エクソンモービルに対し、気候変動対策に積極的な3名を取締役に推薦するモノ言う株主の提案が可決され、衝撃を与えた。

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