新関空入札に暗雲、そして誰もいなくなる? 2.2兆円の巨額負担に候補企業が難色

拡大
縮小
大型海上空港として建設された関西国際空港。当初の建設費が1.2兆円もの負債となり経営を圧迫している(写真: basehistory / Imasia)

雲行きが怪しくなってきた。政府が成長戦略の一環として進める空港民営化。その大規模案件として注目される「新関西国際空港会社」(国が全額出資)は、関空と伊丹の両空港の運営権売却に向けた1次入札を2月16日に実施する予定だった。

ところが、候補企業が一斉に入札条件に難色を示したことで、新関空会社は2月10日、締め切りを5月22日に約3カ月延期すると発表した。ある候補企業の幹部はこう漏らす。

「最低落札価格や支払期間などの条件が厳しい。おいそれと踏み出せる内容ではない。1次入札に参加しない企業が出てくるだけでなく、最終的に受託先が決まらない事態もありうる」

最低落札価格は2.2兆円

今回のスキームでは、空港施設の所有権は新関空会社に残したままで、運営権のみを民間企業に譲渡する。事前に候補企業に提示された最低落札価格は総額2兆2000億円。運営期間に合わせて45年間の均等払いとなる。年間490億円の実質負担になるが、さまざまなスキームを活用して基準額は年392億円に引き下げられた。

それでも、当初は総額9000億円程度ともみられていたことを考えると、実際の提示額は受託企業に大きな負担を強いるものだ。しかも、企業側は45年間、中途解約できない内容になっているという。

空港の運営を担うのは、複数の企業から成る企業連合。その代表として、不動産デベロッパーや商社、私鉄大手など国内9社が適性審査を通過しているが、想定を大幅に超えた金額提示に各社は入札に慎重な構えを見せる。

次ページ「本命中の本命」も及び腰
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT