「人口減少に直面している日本で最も必要なのは、外国人労働者の受け入れだ」と前回述べた。中国の知識労働者を対象とする場合、現在であれば受け入れが可能だが、いつまでもそうであるわけではない。これは、時間的に制約のある課題なのである。
そう考えるのは、人口面と所得面の二つの理由からだ。最初に第1点について見よう。
グラフに示すのは、生産年齢人口(15~64歳)が総人口に占める割合の推移である。日本は1950年代に6割を超えたが、90年頃にピークに達し、その後は低下している(これは日本経済の盛衰とほぼ同じ傾向だ)。2030年には6割を割り込むと予測されている。前回のグラフで示したように、生産年齢人口減少が極めて急である点で、日本は先進国中で群を抜いている。
他方で、中国の比率は70年頃から次第に上昇している。60年代においては50%台だったが、2010年においては71・9%であり、日本の63・9%より高いのはもちろん、アメリカの66・8%より高い。中国経済が活気に満ちているのは、このためだ。
しかし、今後は急激な変化が予想される。すなわち、15年にピークになったあとは低下を続け、50年にはアメリカとほぼ同じ水準になる。
グラフには示していないが、中国の若年者人口比率は、さらに早く低下する。15歳未満人口は、10年には19・9%だが、40年には15・3%まで低下する。いうまでもなく一人っ子政策の影響だ。現在、この比率は中国とアメリカがほぼ同じなので、今後は中国が、アメリカより若年者比率が低い社会になるのである。
このように人口構成の観点から見て、中国は今は生産年齢人口を送り出す余裕があるが、この状況は長くは続かない。日本が中国人の人材を受け入れるのは、現在なら可能だが、中国の若年労働者が減るようになれば難しくなるだろう。