米FOMCが景気判断を上方修正 利上げは「忍耐強いアプローチ」を継続

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 1月28日、米FRBはFOMC声明で、金融政策の正常化に「忍耐強い」アプローチが必要とあらためて表明した。写真はワシントンのFRBで昨年10月撮影(2015年 ロイター/Gary Cameron)

[ワシントン 28日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は27─28日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)後に発表した声明で、「経済活動はしっかりした(solid)ぺースで拡大している」とし、前回の「緩やかな(moderate)ペースで拡大」から上方修正した。

労働市場については「労働市場の状況は力強い雇用の増加(strong job gains)と失業率の低下を伴って、さらに改善した」との認識を表明。「最近のエネルギー価格の下落が家計の購買力を押し上げ(boosted household purchasing power)、家計支出は緩やかに伸びている」との認識も示した。

金融政策の正常化開始には「忍耐強い(patient)」アプローチが必要との姿勢をあらためて表明。

FRBは前回12月のFOMC声明で、事実上のゼロ金利を「相当な期間」維持するとしていた文言を修正し、利上げ決定には「忍耐強い」アプローチが必要との表現を採用。これについて、事実上のゼロ金利を「相当な期間」維持することが適切としたそれまでの声明と合致する(consistent)と説明していた。

ただ、今回の声明では以前のガイダンスに関する言及は削除された。

FRBは今回の声明で、欧州やアジアの景気減速についてはおおむね言及を避け、利上げ時期を決定するにあたり、「労働市場の状況に関する指標、インフレ圧力やインフレ期待の指標、金融動向や国際情勢(financial and international developments)の解釈を含む幅広い情報を考慮する」とするにとどめた。国際情勢に関する言及は前回声明にはなかった。

物価動向については、インフレはFRBが目標とする2%を一段と下回る水準に低下したとの認識を表明。さらに、「将来のインフレを示す市場ベースの指標はここ数カ月で大幅に低下(declined substantially)した」との認識を示した。

今回のFOMC声明に対し反対票を投じたメンバーはなく、全会一致で決定された。

欧州中央銀行(ECB)が今月の理事会で国債買い入れ型の量的緩和実施を決定するなど、FRBの政策スタンスの方向性は他の主要中銀と大きく異なり、ドルが他の主要通貨に対し上昇する要因となっている。

ウェルズ・ファーゴ(Wファーゴ)のエコノミスト、ジョン・シルビア氏は、「FRBが2016年まで利上げ開始を先延ばしにしようとしている場合、ドル相場と国際情勢に関してより多くの言及があって然るべきだ」としている。

*内容を追加して再送します。

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