任天堂、本格復活へ「いばらの道」 海外で3DS振るわず営業益計画を半減
[大阪 28日 ロイター] - 任天堂<7974.T>は28日、2015年3月期の連結営業損益予想を200億円の黒字(前年同期は464億円の赤字)に下方修正したと発表した。
従来予想は400億円の黒字。4年ぶり営業黒字計画は維持するものの、年末商戦で、携帯型ゲーム機「3DS」の販売が振るわなかったのが響いた。
通期の売上高予想は、従来の5900億円から5500億円(前年同期は5717億円)に下方修正し、一転して減収予想に変更。3DSの通期販売計画は、これまでの1200万台から900万台に引き下げた。
3DSは4―12月期の累計販売で前年割れ。昨年10月に新モデル「ニュー3DS」を国内で発売したが、欧米販売が年明け2月になったため、海外で買い控えが発生したとみている。
大阪市内で記者会見した岩田聡社長は、3DSの販売について「今年の前半に勢いが落ちてから再び勢いが回復するまで想定より時間がかかった」と指摘した。据え置き型ゲーム機「WiiU」の通期計画は360万台を維持した。
一方で、同社は、円安進行で期末の外貨建て資産の評価益が上昇する。3月末の為替の想定は、円が115円(従来想定100円)、ユーロは130円(同140円)に、それぞれ見直した。これにより、当期純損益は従来予想の200億円から300億円(前年同期は232億円の赤字)に上方修正した。
<4年ぶり9カ月黒字に>
2014年4―12月期の連結業績は、売上高が前年比11.3%減の4429億円、営業損益が316億円の黒字(前年同期は15億円の赤字)だった。9カ月累計として4年ぶりに営業黒字に転換した。
4―12月期の当期純利益は、円安で12月末に外貨建て資産の評価益を510億円計上した結果、前年比5.8倍の595億円だった。
通期予想、9カ月累計ともに4年ぶり営業黒字となったのは、WiiUの販売価格が製造原価を下回る「逆ざや」を前期中に処理したことが大きい。今期は減収でも利益が出せる体質に改善したが、WiiUの逆ざや処理は今期販売分のみで、来期は再び課題になる見通し。
WiiU、累計販売でソニーと大差
好調なソニーの据え置き型ゲーム機「プレイステーション4」は、13年11月の発売から今年1月4日時点の1年超で累計販売が1850万台を突破。年末商戦で410万台以上を販売した。これに対して、12年11月から発売のWiiUは、昨年12月末まで2年超の累計販売が920万台と、ソニーに大差をつけられている。
今期は営業黒字化がやっとの任天堂だが、2009年3月期の営業利益は5552億円の過去最高を記録するなど、かつては4桁台の営業利益を継続していた。岩田社長は「WiiUはこのまま終わると思っていない。2017年3月期に任天堂らしい業績に戻す」と強調するが、厳しい状況は続いている。
*誤字を修正しました。
(村井令二)
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