『ヒア アフター(Hereafter)』--天災によるインフレ進行《宿輪純一のシネマ経済学》

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 日本など先進国でも、一時「とにかくインフレになればよい」といった論調があったが、これは説明不足でもあり、誤解もあるかもしれない。インフレになればよいのであれば、チュニジアもエジプトもデモは起こらないはずである。

経済成長率が高いがゆえにインフレになるのであればまだいいのであるが、(経済成長率が低く)外部的要因によってインフレになるのは国民の生活を苦しめるだけでよろしくない。前者を「良いインフレ」、後者を「悪いインフレ」ということもある。
 
 後者の日本での代表は「石油ショック」である。まずインフレを狙うのではなくて、経済成長率を上げることが大事なのである。

しかし、人生でも経済でも、天災といえるようなトラブルは必ずある。そのときに対応できる体力と気力が最も大事だと筆者は考えている。またそのトラブルというものは逆にチャンスになることもあるようである。


(C)2010 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.


しゅくわ・じゅんいち
映画評論家・エコノミスト・早稲田大学非常勤講師・ボランティア公開講義「宿輪ゼミ」代表。1987年慶應義塾大学経済学部卒、富士銀行入行。シカゴなど海外勤務などを経て、98年UFJ(三和)銀行に移籍。企画部、UFJホールディングスなどに勤務。非常勤講師として、東京大学大学院、(中国)清華大大学院、上智大学、早稲田大学等で教鞭を執る。財務省・経産省・外務省等研究会委員を歴任。著書は、『ローマの休日とユーロの謎』(東洋経済新報社)、『通貨経済学入門』・『アジア金融システムの経済学』(以上、日本経済新聞出版社)他多数。公式サイト:http://www.shukuwa.jp/、Twitter:JUNICHISHUKUWA、facebook:junichishukuwa
※本稿の内容はすべて筆者個人の見解に基づくもので、所属する組織のものではありません。

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